公益財団法人福田靖子賞基金は、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)創立者である故・福田靖子の遺志をもとにピティナ主催で2003年に始まった「福田靖子賞選考会」の主旨をさらに拡大し、若いピアニストが海外で学習し日本の音楽文化を担う音楽家に成長するための経験を積むことを支援しています。
活動は主に、福田靖子賞選考会(隔年)の実施、海外教授によるマスタークラスの実施、ピアニスト育成に関する助成事業(入賞者・入選者への様々な形での学習支援)から成ります。近年の活動をご紹介します。
1.福田靖子賞選考会(隔年)の実施
書類選考により選ばれた高校生以下の9名の優れた学生が、海外招聘審査員3名の総当たりのレッスンを受けたのちに演奏会形式の審査を行うユニークなオーディションで、書類選考で選ばれた9名全員が当財団奨学生としてその後のサポートを受けることができます。
海外招聘審査員には、指導・審査・演奏において国際舞台の第一線で現役で活躍する一流の音楽家を招聘し、単なる審査会に終始しない「音楽体験」の場を提供します。歴代の入賞者・参加者は、国内外のコンクールで高い評価を得、国際的なステージで活躍しています。
第10回(2021年度)
審査員
- レッスン担当:パスカル・ドヴァイヨン、菊地裕介、田村響
- 最終審査担当:上原彩子、菊地裕介、松本和将
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 国本奈々
- 第2位
- 原田怜
- 第3位
- 神宮司悠翔
- 第4位
- 稲積陽菜
- 入選
- 海老原歩実、後藤美優、中瀬智哉、山崎夢叶、澤田幸希(奨学生)
- 2021年度はコロナ禍につき日本在住の国際経験豊かな音楽家にレッスン・審査をご担当いただきました。
第9回(2019年度)
海外招聘審査員
- ダグ・アシャツ
- エヴァ・クピエツ
- ブルース・ブルーベイカー
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 亀井聖矢
- 第2位
- 神原雅治、八木大輔
- 第3位
- 中瀬智哉
- 入選
- 岸本隆之介、国本奈々、須藤帆香、山崎夢叶、渡辺康太郎
第8回(2017年度)
海外招聘審査員
- ジェイムズ・アナグノソン
- オルタンス・カルティエ=ブレッソン
- ヘンリ・シーグフリードソン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 森本隼太
- 第2位
- 谷昂登
- 第3位
- 桂田康紀、村上智則
- 入選
- 片山響、進藤実優、吉原佳奈、渡邊さくら
第7回(2015年度)
海外招聘審査員
- ヤン・イラチェク・フォン・アルニム
- スタニスラフ・ユデニッチ
- マイケル・ルーイン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 黒木雪音・古海行子(第2位なし)
- 第3位
- 三上結衣
- 第4位
- 沢田蒼梧
- 入選
- 太田糸音、田中英純、長澤優花、平間今日志郎、渡邊晟人
第6回(2013年度)
海外招聘審査員
- ロナン・オホラ
- ボリス・ペトルシャンスキー
- ジェローム・ローズ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 山﨑亮汰
- 第2位
- 桑原志織
- 奨励賞
- 小林海都、東海林茉奈
- 入選
- 尾崎未空、尾城杏奈、杉本沙織、中村優似、平間今日志郎
第5回(2011年度)
海外招聘審査員
- アレキサンダー・プラギンスキー
- ウィリアム・グラント・ナポレ
- カタジーナ・ポポヴァ=ズィドロン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 小林愛実
- 優秀賞
- 尾崎未空、本山麻優子
- 入選
- 太田沙耶、小嶋稜、佐藤元洋、中川真耶加、久末航、水本明莉
第4回(2009年度)
海外招聘審査員
- ホアキン・ソリアーノ
- ニコライ・ペトロフ
- ディーナ・ヨッフェ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 阪田知樹
- 優秀賞
- 中村芙悠子
- 奨励賞
- 生熊茜、木村友梨香、久保山菜摘
- 入選
- 大貫瑞季、小竹島紗子、佐藤元洋、横山瑠佳
第3回(2007年度)
海外招聘審査員
- ミハイル・ヴォスクレセンスキー
- ドミニク・メルレ
- ピオトル・パレチニ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- ロー磨秀
- 優秀賞
- 第1席:實川風、第2席:山田真琳
- 奨励賞
- 小塩真愛
- 入選
- 生熊茜、片田愛理、佐藤元洋、鈴木美祐、水谷桃子
第2回(2005年度)
海外招聘審査員
- ジョン・オコーナー
- リー・カムシン
- ジャック・ルヴィエ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 須藤梨菜
- 優秀賞
- 第1席:崎谷明弘、第2席:酒井有彩
- 奨励賞
- 尾崎有飛
- 入選
- 岡安咲耶、栗原麻樹、實川風、鯛中卓也、日置ひと美
第1回(2005年度)
海外招聘審査員
- アンドレイ・ピサレフ
- ポール・ポライ
- ブルーノ・リグット
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 関本昌平
- 福田靖子賞準賞
- 田村響
- 奨励賞
- 實川風
- ベストレッスン賞
- 津島圭佑
- 入選
- 石村純、尾崎有飛、小林侑奈、野牧愛、森田英里奈
2.海外教授によるマスタークラスの実施
福田靖子賞選考会入賞者・入選者に、海外の一流の音楽家と出会う機会を与えるマスタークラスは、世界の第一線で活躍する最高レベルのピアニスト・教授陣をお迎えし、2022年11月までに128回を数えています。レッスン当日は、受講生が相互に聴講し合う環境を作るとともに、ピアノ指導者や学習者にも広く聴講の機会として開放しています。
2019~2022年度開催マスタークラス
2019年度
- 5月
- 第108回ダグ・アシャツ先生、第109回ジャック・ルヴィエ先生
- 6月
- 第110回ロナン・オホラ先生
- 7月
- 第111回ヘンリ・シーグフリードソン先生
- 8月
- 第112回ダグ・アシャツ先生
- 9月
- 第113回エヴァ・ポブウォツカ先生、第114回ホアキン・アチュカロ先生
- 11月
- 第115回アルヌルフ・フォン・アルニム先生
- 12月
- 第116回ロナン・オホラ先生
- 2月
- 第117回ミシェル・ダルベルト先生
2021年度
- 9月
- 第118回エマニュエル・リモルディ先生
- 1月
- 第119回ラルフ・ナットケンパー先生
- 3月
- 第120回エマニュエル・リモルディ先生
2022年度
- 6月
- 第121回ジャック・ルヴィエ先生、第121回ギリアード・ミショリ先生
- 8月
- 第123回今峰由香先生
- 9月
- 第124回ダグラス・ボストック先生(指揮者)
- 10月
- 第125回エリック・ル・サージュ先生、第126回ヴォイチェフ・シフィタワ先生
- 11月
- 第127回アレクサンダー・コブリン先生、第128回広瀬悦子先生
これまでの主な海外招聘教授
ダグ・アシャツ、ホアキン・アチュカロ、アルヌルフ・フォン・アルニム、パウル=バドゥラ・スコダ、ミシェル・ベロフ、アンドレア・ボナッタ、ミシェル・ダルベルト、ヤニーナ・フィアルコフスカ、スタニスラフ・ユデニッチ、クシシュトフ・ヤブウォンスキ、ヤン・イラチェク・フォン・アルニム、チュンモ・カン、リー・カムシン、ガブリエル・クオック、ロバート・レヴィン、ルイ・ロルティ、アンナ・マリコヴァ、オリ・ムストネン、ウィリアム・ナボレ、ジョン・オコーナー、ロナン・オホラ、ピオトル・パレチニ、ジャン=クロード・ペヌティエ、エヴァ・ポブウォツカ、パスカル・ロジェ、ペーター・レーゼル、ヘンリ・シーグフリードソン、アンティ・シーララ、アンドレアス・シュタイアー、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、ディーナ・ヨッフェ
3.ピアニスト育成に関する助成事業(入賞者・入選者への学習支援)
ア)海外学習機会の提供・海外渡航の助成
福田靖子賞選考会参加者には、具体的な海外学習機会(アカデミー・フェスティバル・演奏会への参加、国際コンクールへの参加)に対し、渡航費を補助する形で助成しています。十代のうちに海外へ出て、多くの素晴らしい音楽家や世界の人々・風景・文化と出会い、視野を広めていただくことを目的としています。派遣機会の提供においては、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)の海外在住会員や過去の海外招聘審査員の先生方などがご協力くださっています。
海外渡航助成
2022年度(2022年11月現在)
- エトリンゲン国際ピアノコンクールへの派遣(ドイツ)原田怜
- いしかわピアノアカデミーへの派遣(日本)原田怜
- アリエ・ヴァルディ教授講習会への派遣(ドイツ)八木大輔
- アレクサンダー・ガジェヴ氏講習会への派遣(イタリア)八木大輔
- フェロル国際ピアノコンクールへの派遣(スペイン)八木大輔
2021年度
- 福間洸太朗先生コンチェルトマスターコース(柏崎)への派遣(日本)神宮司悠翔・中瀬智哉
- MozArte国際ピアノコンクールへの派遣(ドイツ)八木大輔
- ウィーン国立音楽大学レッスン受講への派遣(オーストリア)岸本隆之介
- ウィリアム・ナボレ教授ほかレッスン受講への派遣(イタリア)森本隼太
2020年度
- Arsonore音楽祭への派遣(オーストリア・グラーツ)森本隼太
- 福間洸太朗先生コンチェルトマスターコース(柏崎)への派遣(日本)尾城杏奈・神原雅治・岸本隆之介
国内主要ジュニアコンクールへの助成
- 全日本学生音楽コンクール中学の部全国大会第1位受賞者への「福田靖子賞」授与
- ピティナ・ピアノコンペティションJr.G級金賞受賞者への「福田靖子賞」授与
イ)その他の支援・ワークショップ実施
ピアノ学習の支援に加え、音楽家としてのあり方・生き方を深く見つめ、人間的な成長を促すために、様々な企画や音楽家・専門家との交流の機会を設けています。
芸術家・専門家とのワークショップ、レクチャー
- 「オルガンを通してバロック音楽のピアノ演奏を考える」(2019)
松居直美先生(オルガニスト、聖徳大学教授) - 「豊かな音楽表現を導く、ピアノの基本テクニック」(2022)
パスカル・ドヴァイヨン先生、村田理夏子先生(ピアニスト)