推薦者よりメッセージ
過去の福田靖子賞選考会入選者(公益財団法人福田靖子賞基金奨学生)とご指導の先生、過去に審査やマスタークラスにいらしてくださった海外の先生方より、福田靖子賞選考会に応募を検討される皆様へ、推薦メッセージをいただきました。
<奨学生から>
福田靖子選考会に参加する前の私は、ただ受動的に、餌を待つ雛状態で音楽をしており、自分という存在が他人の評価に依存していました。 ですが、奨学生になってからの様々な経験が私を変えてくださいました。
まずはじめに、夏の3日間にわたる選考会のマスタークラスでは、濃密で深いレッスンを受け、最後に舞台で演奏し講評までいただけることで、今後の課題が明確に把握でき、扉が開いていきました。その後も継続的にたくさんの世界的な先生方のマスタークラスを受講させていただき、多角的に刺激をいただくことで、自分の中で作曲家ごとの音楽像が浮かび上がっていき、どう弾けばいいのか、どう弾きたいかという理想と意志が生まれました。引き出しが増えることによって、自分が表現したい音楽の幅も大きくなり、それを実現するための技術もついていきます。 この時期に一流の先生、アーティストの方々と携わる体験をさせていただけたこと、本当に幸せに思います。
そして、福田靖子賞では海外での渡航もサポートしてくださいます。私にとって海外は大きな成長の場でした。作曲家の育った土地へ行き、風景を見て、空気を肌で感じ、現地の食べ物を味わって、話していた言語を聞くこと。そういったことが本当に曲と結びつく瞬間があり、そのたび、心がときめきます。ゲッティンゲンでの講習会、そんな機会を作ってくださったことにも大変感謝しております。 また、国際コンクールを受けることは、現在世界ではどのような演奏やプログラムが評価されるのかを知ることができますし、素晴らしい先生や演奏家とも出会うことができます。そして、その場は私の「自分」という存在認識を強くしてくれました。世界を知るということは、自分と向き合うことと表裏一体に感じます。自分はなぜ音楽をやるのか、何を表現したいのか、自分のアイデンティティは何なのか、自分は何を望んでどうなりたいのか。こういった疑問に直面した時、客観的な答えはないかもしれないけれど、今の自分の、ただの主観で答えを探し、意味を付けていくことが、私にとって大きなモチベーションになっています。
この数年、音楽的にも人間的にも大きく成長させていただきました。何にも変え難い経験をさせてくださり、夢を追わせてくださること、心から感謝申し上げます。
僕が福田靖子賞選考会に参加させていただいたのは、中学2年生の時でした。この1年は福田靖子基金からの手厚いサポートのおかげもあり、素晴らしい海外教授陣による刺激的なレッスンを受講させていただきました。僕はまだ国内コンクールしか参加経験がありませんが、今後もマスタークラスを通じて学び、海外コンクールへの参加も挑戦していきたいと思っています。まずは、今自分に足りない課題をひとつずつクリアしていきたいです。
この1年で一番心に残っているマスタークラスは、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーの先生方との室内楽研修です。普段ピアノは1人で演奏しているため、どうしても視野が狭くなり周りが見えなくなることが多々あります。研修では、ソロで演奏する時と室内楽などで演奏する時では、耳の使い方やタッチ、息づかい、時間のかけ方など目に見えない意識をしなければいけないことがたくさんあるということを学びました。そして先生方の素晴らしい演奏と一緒に弾かせていただけたことがとても幸せで今でも耳に残っています。
選考会を通して出会った奨学生の仲間とともに切磋琢磨し勉強できる機会をたくさん与えてくださる福田靖子基金に心から感謝をしています。今後も一歩ずつ成長できるよう精進してまいります。
私が福田靖子賞選考会に参加させていただいてから約1年と少し経ちました。私の印象では、選考会というよりも、同じ志を持った音楽仲間とアカデミーを受講しているような感覚で、毎日がとても楽しく刺激的で充実していたと記憶しています。海外でご活躍の著名な3名の先生方のマスターレッスン受講、そのあと審査会を経て、交流会では先生方に直接ご助言をいただけるという贅沢でとてもユニークな選考会です。
奨学生になってからも、きめ細やかなサポートをしていただいています。世界一流の先生方の様々なマスターレッスンを受講し、新しい発見やきっかけを得てとても楽しく勉強しています。
またマスターレッスン以外では、国際コンクールを受けるにあたってのアドバイスや色々な情報、書類などの準備に関することも親身に相談に乗ってくださり、色々と指導してくださいます。音楽をするうえで最高の環境を提供していただいています。決して当たり前ではないこの恵まれた環境に感謝をし、これからも音楽を楽しみながら成長していけるよう精進していきます。この選考会に参加すると更なる世界が広がります。
小学生の頃にイタリアでコンクールとマスタークラスを受けた衝撃と感動の体験から、福田靖子賞選考会に応募し、参加させていただきました。
3人の海外の著名な先生方から2日間にわたってみっちりレッスンを受けるのは初めてであり、私にとっては大変なことでもありました。反省点が多い選考会になりましたが、もっと音楽と向き合わなければという自発性が高まった経験になりました。間違いなく私にとっては必要なことでした。同世代の優秀な受講生のレッスンを聴講できたのも、充実した時間になりました。
選考会が終了した後も、何度もマスタークラス受講のチャンスをいただいています。参加できる限り受講しており、日本にいながらにして素晴らしい先生方のレッスンが受けられる環境です。今年はマスタークラスと演奏会のための渡仏もご支援いただき、叶いました。やはり実際にその地で経験することは一番の勉強になりました。
福田靖子賞基金のスタッフの皆様にはたくさん助けていただき、愛情あるサポートに深く感謝しています。選考会に参加できたことが本当に幸運でした。これからも探究心を忘れずに、世界に羽ばたけるよう音楽を学び続けていこうと思います。
<指導者から>
(※2019年にお寄せいただいたメッセージです)
奨学金というものを皆さんどのようにお考えでしょうか。ピアノでなくとも、何かを極めるためには多大なお金がかかりますので、奨学金による経済的な援助は本当にありがたいものだと思います。しかし、この福田靖子賞はただの経済的な援助という単純なものではありません。
まずエントリーして書類審査が通ると、選考会で、素晴らしいマスタークラスに加えて、演奏を披露し先生方からアドバイスをいただける機会があります。また、同世代の同じ志を持つ仲間の演奏や交流から、多くの刺激を受けるでしょう。例えば、生徒の森本隼太くんは、福田靖子賞入賞後からとてつもない成長をしています。それは、渡航費援助による初めての海外経験、またその後に事務局で継続的に開催されている海外教授マスタークラスでのハイレベルなレッスンの受講、さらに、そのレッスンを聴講して学ぶことで興味の幅が広がり、勉強の仕方が変化してきたことがかなり大きい要因だと思っています。第1位受賞直後はただ、入賞したこと、奨学金を手にしたことを喜びましたが、2年経ってみて、福田靖子賞の継続的な支援の素晴らしさを実感しています。
また福田靖子賞基金や隣接するピティナの事務局には、音楽教育の本質を見抜いている素晴らしいスタッフがいます。例えば、事務局長の加藤哲礼さんは、マスタークラスのお世話はもちろんですが、選曲や国際コンクールやセミナーの情報などにも精通しており、これらの準備に関することも指導してくださいます。また、困った時は親身に相談に乗ってくださり、何年か先を見据えた真のアドバイスをいただくことができます。ピアノは、どうしても独りよがりになりがちな楽器ですが、外部での交流や刺激が継続的にあることによって、自身の意識がガラッと変わっていくことが、この福田靖子賞の一番の素晴らしさだと思います。
ぜひみなさんにご応募いただき、日本から真の意味で音楽を勉強している素晴らしいピアニストが育っていくことを願っています。
(※2019年にお寄せいただいたメッセージです)
生徒の桂田康紀君が前回の福田靖子賞選考会に参加させていただき、その後は奨学生としてマスタークラスのレッスンを受講したり、多くのサポートを受けてエッパン国際ジュニアピアノアカデミー(イタリア)という初めての海外の場に挑戦させていただいたりしたことは、ピアノを通して広い世界を感じる素晴らしい経験になり、彼の新しい扉を開く貴重な機会となりました。
これからも、この福田靖子賞選考会が若いピアニストの皆さんが世界に繋がる一歩となりますことを願っております。
<海外招へい教授・過去の審査員の推薦メッセージ>
福田靖子賞選考会は、才能ある若き日本のピアニストの皆さんにとって素晴らしい機会です。福田靖子賞では、演奏機会という大切な経験と、国際的に著名な指導者によるマスタークラスの機会の両方が与えられ、その後も数多くの支援が受けられますが、若いピアニストたちに対してここまでのサポートが提供される場所を私は世界中で他に知りません。この選考会を心から推薦いたします。
2017年に、ピティナ・ピアノコンペティション及び福田靖子賞選考会の審査員としてお招きいただきましたが、そこで私は、かつて経験したことがないような熱狂と情熱と完璧な運営を目の当たりにしました。どの方も、ピアノ音楽をよくご存じで、深く愛し、若い音楽家たちのキャリアをサポートしたいと願っていました。その後も、たびたびマスタークラスにお招きいただいています。これは世界的に見てもユニークな組織であり、皆がお手本にすべきものでしょう。福田靖子賞基金やピティナを通じて、若く才能ある日本のピアニストの皆さんをサポートする機会があるのをとても光栄に思っております。