公益財団法人福田靖子賞基金は、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)創立者である故・福田靖子の遺志をもとにピティナ主催で2003年に始まった「福田靖子賞選考会」の主旨をさらに拡大し、若いピアニストが海外で学習し日本の音楽文化を担う音楽家に成長するための経験を積むことを支援しています。
活動は主に、福田靖子賞選考会(隔年)の実施、海外教授によるマスタークラスの実施、ピアニスト育成に関する助成事業(入賞者・入選者への様々な形での学習支援)から成ります。近年の活動をご紹介します。
1.福田靖子賞選考会(隔年)の実施
書類選考により選ばれた高校生以下の9名の優れた学生が、海外招聘審査員3名の総当たりのレッスンを受けたのちに演奏会形式の審査を行うユニークなオーディションで、書類選考で選ばれた9名全員が当財団奨学生としてその後のサポートを受けることができます。
海外招聘審査員には、指導・審査・演奏において国際舞台の第一線で現役で活躍する一流の音楽家を招聘し、単なる審査会に終始しない「音楽体験」の場を提供します。歴代の入賞者・参加者は、国内外のコンクールで高い評価を得、国際的なステージで活躍しています。
第8回(2017年度)
海外招聘審査員
- ジェイムズ・アナグノソン
- オルタンス・カルティエ=ブレッソン
- ヘンリ・シーグフリードソン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 森本隼太
- 第2位
- 谷昂登
- 第3位
- 桂田康紀、村上智則
- 入選
- 片山響、進藤実優、吉原佳奈、渡邊さくら

第7回(2015年度)
海外招聘審査員
- ヤン・イラチェク・フォン・アルニム
- スタニスラフ・ユデニッチ
- マイケル・ルーイン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 黒木雪音・古海行子(第2位なし)
- 第3位
- 三上結衣
- 第4位
- 沢田蒼梧
- 入選
- 太田糸音、田中英純、長澤優花、平間今日志郎、渡邊晟人

第6回(2013年度)
海外招聘審査員
- ロナン・オホラ
- ボリス・ペトルシャンスキー
- ジェローム・ローズ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 山﨑亮汰
- 第2位
- 桑原志織
- 奨励賞
- 小林海都、東海林茉奈
- 入選
- 尾崎未空、尾城杏奈、杉本沙織、中村優似、平間今日志郎

第5回(2011年度)
海外招聘審査員
- アレキサンダー・プラギンスキー
- ウィリアム・グラント・ナポレ
- カタジーナ・ポポヴァ=ズィドロン
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 小林愛実
- 優秀賞
- 尾崎未空、本山麻優子
- 入選
- 太田沙耶、小嶋稜、佐藤元洋、中川真耶加、久末航、水本明莉

第4回(2009年度)
海外招聘審査員
- ホアキン・ソリアーノ
- ニコライ・ペトロフ
- ディーナ・ヨッフェ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 阪田知樹
- 優秀賞
- 中村芙悠子
- 奨励賞
- 生熊茜、木村友梨香、久保山菜摘
- 入選
- 大貫瑞季、小竹島紗子、佐藤元洋、横山瑠佳

第3回(2007年度)
海外招聘審査員
- ミハイル・ヴォスクレセンスキー
- ドミニク・メルレ
- ピオトル・パレチニ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- ロー磨秀
- 優秀賞
- 第1席:實川風、第2席:山田真琳
- 奨励賞
- 小塩真愛
- 入選
- 生熊茜、片田愛理、佐藤元洋、鈴木美祐、水谷桃子

第2回(2005年度)
海外招聘審査員
- ジョン・オコーナー
- リー・カムシン
- ジャック・ルヴィエ
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 須藤梨菜
- 優秀賞
- 第1席:崎谷明弘、第2席:酒井有彩
- 奨励賞
- 尾崎有飛
- 入選
- 岡安咲耶、栗原麻樹、實川風、鯛中卓也、日置ひと美

第1回(2005年度)
海外招聘審査員
- アンドレイ・ピサレフ
- ポール・ポライ
- ブルーノ・リグット
入賞者・入選者
- 福田靖子賞
- 関本昌平
- 福田靖子賞準賞
- 田村響
- 奨励賞
- 實川風
- ベストレッスン賞
- 津島圭佑
- 入選
- 石村純、尾崎有飛、小林侑奈、野牧愛、森田英里奈

2.海外教授によるマスタークラスの実施
福田靖子賞選考会入賞者・入選者に、海外の一流の音楽家と出会う機会を与えるマスタークラスは、世界の第一線で活躍する最高レベルのピアニスト・教授陣をお迎えし、2018年12月までに105回を数えています。レッスン当日は、受講生が相互に聴講し合う環境を作るとともに、ピアノ指導者や学習者にも広く聴講の機会として開放しています。



2017~2018年度開催マスタークラス
2017年度
- 5月
- 第82回ロナン・オホラ先生、第83回ギリアード・ミショリ先生
- 7月
- 第84回ラルフ・ナットケンパー先生
- 9月
- 第85回ヴェロニク・ボンヌカーズ先生
- 11月
- 第86回ロナン・オホラ先生、第87回アンナ・マリコヴァ先生
- 12月
- 第88回パスカル・ロジェ先生
- 1月
- 第89回エリック・タヴァッシェルナ先生、第90回ヘンリ・シーグフリードソン先生
- 2月
- 第91回ウィリアム・ナボレ先生、第92回マルティノ・ティリモ先生
- 3月
- 第93回ジャック・ルヴィエ先生、第94回ヴィンツェンツォ・バルツァーニ先生
2018年度
- 4月
- 第95回ダグ・アシャツ先生
- 5月
- 第96回ロナン・オホラ先生
- 6月
- 第97回ギリアード・ミショリ先生、第98回ヤン・イラチェク・フォン・アルニム先生
- 7月
- 第99回ラルフ・ナットケンパー先生
- 8月
- 第100回ヘンリ・シーグフリードソン先生
- 9月
- 第101回アレキサンダー・コブリン先生
- 11月
- 第102回パスカル・ロジェ先生、第103回ロナン・オホラ先生
- 12月
- 第104回オリ・ムストネン先生、第105回アブデル・ラーマン・エル=バシャ先生
これまでの海外招聘教授(2016年度以前)
ホアキン・アチュカロ、ディアーヌ・アンデルセン、パウル・バドゥラ=スコダ、ミシェル・ベロフ、アンドレア・ボナッタ、アレキサンダー・ブラギンスキー、ルイス・デ・モウラ・カストロ、ミシェル・ダルベルト、アキレス・デル・ヴィーニュ、ガーボル・ファルカシュ、ヤニーナ・フィアルコフスカ、フィリップ・ジュジアーノ、トーマス・ヘル、スタニスラフ・ユデニッチ、クシシュトフ・ヤブウォンスキ、チュンモ・カン、フレディ・ケンプ、リー・カムシン、ガブリエル・クオック、ロバート・レヴィン、チョンピル・イム、ルイ・ロルティ、ヴォルフガング・マンツ、ジョン・オコーナー、エンリコ・パーチェ、ピオトル・パレチニ、ジャン=クロード・ペヌティエ、エヴァ・ポブウォツカ、イゴール・ローマ、ペーター・レーゼル、アンティ・シーララ、アンドレアス・シュタイアー、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、ディーナ・ヨッフェ(以上累計51名、計105回)
3.ピアニスト育成に関する助成事業(入賞者・入選者への学習支援)
ア)海外学習機会の提供・海外渡航の助成
福田靖子賞選考会参加者には、具体的な海外学習機会(アカデミー・フェスティバル・演奏会への参加、国際コンクールへの参加)に対し、渡航費を補助する形で助成しています。十代のうちに海外へ出て、多くの素晴らしい音楽家や世界の人々・風景・文化と出会い、視野を広めていただくことを目的としています。派遣機会の提供においては、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)の海外在住会員や過去の海外招聘審査員の先生方などがご協力くださっています。



海外渡航助成
2018年度(2018年11月現在)
- アロハ国際ピアノフェスティバル&コンクールへの派遣(アメリカ)森本隼太
- エッパン国際ジュニアピアノアカデミー派遣(イタリア)桂田康紀
- ハノイ国際ピアノコンクールへの派遣(ベトナム)吉原佳奈
- ジュネーブ国際ピアノコンクールへの派遣(スイス)沢田蒼梧
- マルタ国際ピアノコンクールへの派遣(マルタ共和国)太田糸音
- ヴァルセシアモンテローザ国際ピアノコンクール及びマスタークラス派遣 (イタリア)三上結衣
- 若い音楽家のためのクリーブランド国際ピアノコンクール派遣(アメリカ) 岸本隆之介
2017年度
- ウィーンでの音楽研修(オーストリア)および深センコンチェルトコンペティション(中国)派遣 黒木雪音
- ベートーヴェンアカデミー(講師:リチャード・グード、レイフ・オヴェ・アンスネス、ヤン・イラチェク・フォン・アルニム)派遣(ノルウェー)桑原志織
- Global Harmony Symphony(カリフォルニア州)での演奏会出演に派遣 (アメリカ)古海行子
2016年度
- ザルツブルク夏季国際ピアノアカデミー派遣(オーストリア)中川真耶加
- クラクフでの国際ピアノ講習会派遣(ポーランド)中川真耶加
- ティーニュ夏季国際ピアノ講習会派遣(フランス)東海林茉奈
- アロハ国際ピアノフェスティバル派遣(アメリカ)沢田蒼梧
- 第2回日本ベトナムピアノフェスティバル派遣(ベトナム)小嶋稜
- エッパン国際ジュニアピアノアカデミー派遣(イタリア)黒木雪音
- ウィーンおよびモナコでの音楽祭演奏会出演への派遣 阪田知樹
国内主要ジュニアコンクールへの助成
- 全日本学生音楽コンクール中学の部全国大会第1位受賞者への「福田靖子賞」授与
- ピティナ・ピアノコンペティションJr.G級金賞受賞者への「福田靖子賞」授与
イ)その他の支援・ワークショップ実施
ピアノ学習の支援に加え、音楽家としてのあり方・生き方を深く見つめ、人間的な成長を促すために、様々な企画や音楽家・専門家との交流の機会を設けています。


芸術家・専門家とのワークショップ、レクチャー
- 「ジャック・ルヴィエ先生と考えるベートーヴェンのソナタ」(2014)
ジャック・ルヴィエ(ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学教授) - 「ピアニストに必要な脳と身体のトレーニング」(2014)
古屋晋一(上智大学理工学部准教授) - 「あなたの演奏の先にあるもの~ミヒャエル・ゲース先生と考える」(2015)
ミヒャエル・ゲース(ピアニスト)西巻正史(トッパンホール企画制作部長) - 「武久源造先生と<ジルバーマン・ピアノ>を弾く」(2016)
武久源造(鍵盤楽器奏者) - 「音楽の総合的な学び方」(2018)
ヘンリ・シーグフリードソン(エッセン・フォルクヴァング芸術大学教授) - 「山田剛史先生と学ぶ J.S.バッハ」(2018)
山田剛史(ピアニスト、国立音楽大学・東京学芸大学講師)
国際コンクール入賞者とのワークショップ・勉強会

- 「フェデリコ・コッリと考える<古典>の弾き方・学び方」(2013)
フェデリコ・コッリ(リーズ国際、モーツァルト国際優勝者) - 「ボリス・ギルトブルクと考える<ロシアの作曲家たちの心をどう読むか>」(2015)
ボリス・ギルトブルク(エリザベート王妃国際優勝者) - 「関本昌平と考える楽譜の読み方・伝え方」(2016)
関本昌平(ショパン国際コンクール入賞、当財団第1回奨学生)