ピティナ・ピアノコンペティション

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開催レポート:グランミューズ座談会(2)

グランミューズ座談会(2)
曲選びと暗譜

去る2023年4月2日(日)に、『グランミューズ沼にハマって ~自分を映し、磨き、そして繋ぐピアノとの後半生~』と題し、オンライン座談会を開催。パネリストとして、各々仕事を抱えながら時間を工面してコンペに継続参加されている、5名の方をお招きし、100名以上の方がリアルタイムで聴講くださいました。

座談会の内容を、3回連載でお届けします。第2回目の今回は、「曲選びと暗譜」です。

グランミューズ座談会

パネリスト

  • 股木 裕美子さん(千葉県/A1・A2カテゴリー参加)
  • 浅田 陽子さん(神奈川県/A2・B ・B2・C・Dカテゴリー参加)
  • 林 洋介さん(愛知県/B1・B2・Cカテゴリー参加)
  • 中島 巌さん(島根県/A1・A2カテゴリー参加)
  • 内藤 みゆきさん(岡山県/B2・Dカテゴリー参加)
  • 曲選び

    内藤さん

    ショパン好きの私は、これまで15年のコンペステージの7割くらい、ショパンの曲を弾いています。コンクールなので、毎年異なる作曲家、新しい曲を仕上げたい気持ちもありますが、自分のレパートリーがまだ少ないことや、ショパンの曲がやはり大好きなので、例えば、同じバラードを3年連続で参加することもあります。それが、必ずしも毎年上手になっているとは限りませんが、それでも、コンクールに出場する中で、自分が好きな作曲家に没頭して、少しでも上達していけたらという思いで、かなり偏った選曲を繰り返しています。

    林さん

    曲を選ぶことは私にとって非常に楽しい時間で、これから何を弾くか考えるのがとてもワクワクします。しかし、有名な作曲家の曲(例えばショパン、ベートーヴェン、リストなど)は、上手な方々が頻繁に演奏されるので、自分は自信がなく、隠れた名曲を探したり、先生やピアノの仲間からの提案を参考にして選曲しています。

    中島さん

    クラシックを再開すると決めたものの、実際にコンペの曲を選ぶときにはクラシカルな曲を弾く気にはなれず、バンド活動のライブでソロとしてかっこよく演奏できる曲にしようと思いました。初コンペはガーシュウィンの「三つのプレリュード」、その後はファジルサイの「バリエーション」などを演奏していました。実は、これらの曲をコンクールで演奏していいのかどうか分からず、聴きに来た友人からは「みんなちゃんとした曲を弾いているのに、そんな曲を演奏していいの?」と言われたこともありました。でも練習した甲斐があって、ライブでは自分がアドリブで弾いているかのように余裕を持って演奏でき、拍手喝采を浴びることができました。
    最近はクラシックが大好きになりましたし、室内楽の機会もぼちぼちあります。一昨年はフランクのソナタの伴奏があったので、ピアノソロ版でコンペに参加しました。今年はバレエの人とコラボレーションして、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」を演奏する予定なので、それでエントリーしました。コンペの舞台で暗譜で弾ければ、コラボの本番でバレエの人を見ながら一体となって演奏できて楽しいだろうなあと思っています。コンペは自由曲で参加できるので、聴く人も楽しめる曲をマスターする機会にしたいと思っています。

    暗譜

    股木さん

    暗譜や覚えることは比較的容易にできるのですが、初めて弾く曲の場合、自宅でかなり覚えたつもりでも、以前にステージでその先が出てこないことがありました。初めて弾く曲は、寝てても弾けるくらい、深いところで自分の中で浸透していないと、極度の緊張の中で弾くコンペのような状況では、非常に怖いと感じます。そのため、コンペに参加する前には、ステップで弾いたり、どこかステージで弾いて、十分に染み込ませるように意識しています。
    また、古典派の曲で、提示部と展開部で非常に似ているフレーズがある場合は、その違いを覚えるために言葉を当てはめたり、図形にしたり、風景を描いたりするようにしています。

    内藤さん

    暗譜は私にとってただ一言、恐怖です。本当に怖くて、当日の朝まで家で練習して、何とかいけるかもしれないと思ってホールに着いた途端、やっぱり大丈夫じゃない気持ちになったり。これまで恥ずかしい経験を何度もしてきたのですが、去年の夏に、本番当日に突然そういう恐怖心に襲われて、暗譜は怖いから楽譜を置くことにしました。ちゃんとコピーもしているし、楽譜があるから大丈夫!と思って。でも、急に楽譜を置いても目が泳いで何がどこに書いてあるか分からなくて、恐怖の連続で、結局ボロボロの演奏になってしまいました。B2カテゴリーは楽譜を見ても大丈夫なカテゴリーですが、見るなら見ると決めて、事前にきちんと楽譜を見て弾く練習が必要ですね。去年の経験から、当日急に楽譜を置いても、視奏の効果は出ないということがよく分かりました。

    浅田さん

    55歳以上のCカテゴリーでは、年齢を考慮してのことか、またはBカテゴリーから受ける方を想定されてのことか、楽譜を見て演奏して良いことになっています。以前、全国大会である方が、「譜面台いりますかってスタッフさんが仰ってくださるだけで、なんかもうホッとするのよね」と仰っていたことがありました。この「譜面台ウェルカム」というのは、年齢にも優しいなぁとその時思いました。
    私は一昨年Cカテゴリーに参加したあと、昨年またA2カテゴリーに戻ったのですが、A2は予選から楽譜を見ることができないので、「見たらいけない、予選から見たらいけないんだ」と、もうそのことだけで頭がいっぱいに。Cカテゴリーは、この譜面台が置ける安心感が得られるという点でもお勧めですね。