ピティナ・ピアノコンペティション

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第43回コンペ作文コンテスト結果発表!-4- 特選・準特選2作品

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト結果発表

2019年度コンペ作文コンテストの入賞作品を、毎週2作品ずつご紹介いたします。
今回は、準特選に選ばれた2作品を全文掲載します。 入賞作品の結果一覧はこちら

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト

作文:準特選
ピアノを奏でる
宮澤 亜純奈 (栃木県・中学1年生・D級に参加)

 「やってみなければ分からない。」

 当たり前のように毎年参加していたピティナコンペ。中学生になった私は、参加するかしないか、そこから今年のコンペは始まりました。しかし、私はどうしてもやらずに後悔するのは嫌でした。生活リズムが変化し、勉強に必要な時間が増えることに不安はありましたが、それ以上に参加したいという思いが強かったのです。

 まず私は計画を立てることにしました。一日のタイムスケジュールを細かく出し、通学や部活にかかる時間も考え、少しのすき間でもピアノを弾く時間として入れて完ぺきな計画を作りました。しかし、新生活が始まるとすぐ、実際はそんなに甘くないことを思い知らされるのでした。慣れない生活リズムは想像を超えた疲れと眠気で夜の練習時間はどんどん削られて、その分早起きをして練習、と思っても前日の夜が遅い為、頭がスッキリしない。私の完ぺきに作った計画はあっという間に崩れました。思うように練習がとれず、なかなか前へ進めない。今までとは全く違うコンペに私の心は折れそうになりました。

 そんな時、私の背中を押してくれたのは、母の言葉でした。
「諦めたらそこで終わり。せっかくやると決めたのだから、最後まで頑張ってごらん。」
参加を決めた時の気持ちを思い出させてくれたこの言葉がいつも力になり、支えてくれていたのだと思います。

 また、今までのコンペで出会った同じ学年の子のことも思い出しました。お互い小さな頃からコンペに参加し、毎年少しずつお互いの顔や名前を覚えた同級生たち。私が参加を悩んだ今年もコンペ会場には変わらない顔ぶれがあり、とても嬉しかったです。みんなもきっと苦労や葛藤を乗り越えてきていると思うと、一人ではない、と勇気を貰えました。

 先生は練習で悩んでいる私にこう教えてくれました。自分の殻を破ってもっともっと世界を広げなさい。してはいけない事ばかりを考えるのではなく、自分の魅力は何なのか、自分の心地いい演奏を見つけて弾けたらそれが聴いている人に伝わる演奏になるよ、と。 本選二日前でしたが、私は思い切って演奏を変えました。迎えた最後の本選では自分の魅力をたっぷり詰め込んだ心残りのない演奏ができました。

 本選が終わり、自分の夏を振り返った時、私は心から参加してよかったと思えました。立てた計画は初めから崩れ、経験したことのない緊張のままの予選。それでもピアノを奏でることがどれだけ心地よく自分を癒やすものなのか。
「やってみたから分かった。」
コンペで得たものはとても大きなものでした。

 私がやらずに後悔しないで済んだのも、素敵な経験を得る事ができたのも、応援してくれる家族と大きな安心感と楽しいレッスンをしてくださる先生、変わらない仲間達のおかげです。これからも沢山の人に支えて頂きながら怖がらずにチャレンジし続けたいです。

共に歩んだ20年 ―人生のパートナー
三好 遥奈 (愛媛県・一般・B1カテゴリーに参加)

 私にとって初めてのピティナのコンペは、小学校1年生のときの第23回ピティナ・ピアノコンペティションである。それ以来、小学生の間は毎年挑戦し、ピアノに励む夏休みを送っていたが、その後は、一度コンペから離れていた。しかし、ピティナ・ピアノステップなどを通して、ピティナとのつながりを持ちながら、趣味としてピアノを続けることができていた。

 高校の数学教諭として働くこと5年目になった今年の第43回ピティナ・ピアノコンペティションは、初出場からちょうど20年を経たコンペであった。毎年、夏が来るとコンペを思い出していた私は、第40回の年、グランミューズ部門で復帰し、今年は4度目の挑戦となった。グランミューズ部門は、自由曲であるため、選曲も楽しみの一つである。今年は、リストの作品『巡礼の年』から「ペトラルカのソネット第104番」を選んだ。何を弾こうかと考え始めたとき、幼い頃に見た結果特集号で、多くの憧れのお兄さんやお姉さんたちのプログラムに、この『巡礼の年』の作品が選ばれていたことが強く印象に残っていたため、全曲を聴いてみた。その中で、一度聴くと忘れられない美しいメロディーに惹かれ、弾きたいと強く感じたこの曲に決めた。練習を進める中で、つまずきを感じながらも、仕事で忙しくレッスンに行くことが難しい時期があった。そのときに助けてくれたのは、ホームページのピティナ・ピアノ曲事典である。演奏動画を聴き比べ、多彩な音色や表現を感じたり、解説から楽曲への理解を深めたり、難所の練習方法を考えたり、多くのことを学んだ。仕事と練習の両立に苦戦しながらも、ピティナに助けられ、コンペ当日を迎えた。今年こそは入賞を、と意気込んで臨んだ本番であったが、残念ながらその夢は叶えられなかった。しかし、幼い頃からどこか惹かれていた作品を素敵なホールで演奏でき、審査員の先生方から温かいお言葉を頂き、達成感でいっぱいだった。また、コンペという場でありながら、グランミューズならではの雰囲気もあり、ピティナで出会った友人との再会、新たな仲間との出会いに心を満たされた1日だった。自分の演奏は、8月3日で終わってしまったが、その後も特級ファイナルのライブ配信などを楽しみ、ピティナの夏を満喫した。

 今年のコンペも私のピアノ人生の大切な1ページとなった。熱心にご指導してくださる先生、応援してくれる友人や家族、切磋琢磨し合える全国各地のピアノ仲間に感謝したい。そして、ピティナが私のピアノ人生をより豊かにしてくれていることを改めて実感するコンペでもあった。日々ピティナを創ってくださっているすべての方々に感謝するとともに、今後も生涯に渡ってピアノを楽しみ、一人のピアノ愛好家として、微力ながらピティナのますますの発展に貢献したい。