ピティナ・ピアノコンペティション

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作文コンテスト
結果発表

2019年度、第3回目となるピティナ・ピアノコンペティション作文コンテストに、50通の応募をいただき、厳正なる審査の結果、12作品の入賞が決定いたしました。
コンペティションに取り組む熱い気持ちや、本番までのあたたかいストーリーが伝わってくる、たくさんの作文をご応募いただき、ありがとうございました。

結果速報と合わせて、特選(ピティナ会長賞)に選ばれました作文(全文)をご紹介します。他、特選作品は、2020年度コンペ要項に、入賞作品は、2020年1月以降にWEBページにて全文を掲載の予定です。

入賞作品
タイトル 氏名 学年 参加級
特選
(ピティナ会長賞)
Beautiful Harmonyを目指して 田淵 羽音 中2 E級
特選 色いろのはなし 伊藤 帆香 小2 A1級
特選 風になる 石井 彩葉 小4 B級
特選 まほうの言葉 菅野 桃生 小5 C級
連弾初級C
準特選 電子ピアノとがんばった最高の夏 梶本 美月 小4 B級
準特選 ピアノを奏でる 宮澤 亜純奈 中1 D級
準特選 共に歩んだ20年―人生のパートナー 三好 遥奈 一般 B1カテゴリー
入選 ひいおばあちゃんが みにきてくれたピティナ 神保 莉子 年長 A2級
入選 あこがれのおねえちゃんと 大すきな先生といっしょに 佐々木 実紅 小2 A1級
入選 だから れんだんは やめられない 横川 芽凪 小3 B級
連弾初級C
入選 がんばり方 後庵 萌音 小6 C級
入選 真逆の夢 あきらめない 篠﨑 江玲奈 中1 D級
審査員
林苑子(理事、アドバイザー派遣委員長)
本多昌子(理事、コンクール課題曲選定委員長)
福田成康(専務理事)
加藤哲礼(理事、育英・広報室長)
作文:特選(ピティナ会長賞)
Beautiful Harmonyを目指して
田淵 羽音
東京都・中学2年生・E級に参加

 令和の時代が幕を開けた。課題曲が発表された3月、時代はまだ平成だった。私の令和初のコンペは飛び級に挑んだ。理由はただ1つ、どうしても弾いてみたい曲があったからだ。それは、バッハの「イタリア協奏曲」。私の憧れの曲だ。レッスンでは「バッハは音楽の父だから、他の作曲家たちも、バッハを勉強してきたんだ。バッハは音楽家みんなのお父さんだよ。」と何度となく教わっている。

 小4の夏、私は師事する先生のリサイタルで初めてこの曲を聴いた。それは、私の知っているバッハとは違う明るくリズミカルな音楽だった。そして、いつも優しくて朗らかな先生の「本気」を初めて目の当たりにした興奮もあったのか、音符の粒が客席に向けてポンポンと飛び出してくるような不思議な感覚を味わった。「この曲、すっごく面白い!」その曲が「イタリア協奏曲」だったのだ。感動のあまり、次のレッスンで先生にたどたどしい「イタリア協奏曲」を4小節だけ披露した。それが当時の私の精一杯の感動の伝え方だった。先生は苦笑いをしながら「あと2年したら君も弾けるようになるよ。」と仰った。私はこの言葉を忘れることはなかった。しかし、その後、私が出会うバッハとなかなか仲良くなれず、難しさとばかり直面して自信をなくす事も多かった。今年、ピティナの課題曲として巡り合った時は「これはチャンスだ!」と思い、飛び級にチャレンジすることにした。

 コンペの予選では「イタリア協奏曲第一楽章」を演奏した。協奏曲らしく華々しいメロディーから始まる。なんて楽しい曲なんだ。「この曲は協奏曲だけど、ピアノ協奏曲ではないんだよ。鍵盤が2台ついたチェンバロで、演奏するために書かれたから、オーケストラは必要ないんだよ。」先生は「ここからは上鍵盤、ここは下鍵盤で弾いていたんだろうね。」とレッスンで丁寧に教えてくださった。私は、今のオーケストラで例えると、このフレーズはヴァイオリン、ここはピッコロ。私は、フレーズごとに、オーケストラでの楽器の役割も考え、それをピアノで表現するのも楽しいと思った。そして、今年のコンペの予選は、楽しいと思える時間となった。

 ピアノは難しい。鍵盤を押すだけの楽器ではない。良い音を出すためには、腕の使い方や、指の下ろし方など、様々なことを工夫して、理想の音色を奏でる。私はまだまだ音色の試行錯誤にも到達していない。私が小4の夏に聴いた先生のバッハを再現するには程遠い段階だ。しかし「いつか弾いてみたい」というあの時の夢を実現できた夏になった。もちろん全楽章を弾いたわけではないが、令和初のコンペで「平成の思い出」を音楽として振り返る事ができたことを嬉しく思っている。令和は英語で「Beautiful Harmony」とも言う。これからも素敵な音楽とピアノへの可能性を「Beautiful Harmony」で彩っていきたいと思っている。