

2018年度、第2回目となるピティナ・ピアノコンペティション作文コンテストに、46通の応募をいただき、厳正なる審査の結果、13作品の入賞が決定しました。
コンペティションに取り組む熱い気持ちや、本番までのあたたかいストーリーが伝わってくる、たくさんの作文をご応募いただき、ありがとうございました。
結果速報と合わせて、特選(ピティナ会長賞)に選ばれました作文(全文)をご紹介します。
他、特選作品は、2019年度コンペ要項に、入賞作品は、2019年1月以降にWEBページにて全文を掲載の予定です。
入賞作品
賞 | タイトル | 氏名 | 学年 | 級 |
---|---|---|---|---|
特選 (ピティナ会長賞) |
デュオになる | 佐野 ひより | 小6 | C級 連弾初級C 連弾中級A |
特選 | ピアノの森 | 李 亜鑫 | 小6 | C級 |
特選 | コンぺで過ごした熱い夏 | 久保井 稔 | ━ | B2カテゴリー |
準特選 | やっと出られたピティナコンクール | 磯崎 円花 | 小3 | B級 |
準特選 | 努力のスペシャリストを目指して | 秋池 総太 | 小4 | B級 |
準特選 | 大好きなピアノと一緒に | 宮澤 亜純奈 | 小6 | C級 |
入選 | おばあちゃんのはなし | 伊藤 帆香 | 小1 | A1級 |
入選 | てんとう虫がくれたプレゼント | 大野 ほのか | 小2 | A1級 |
入選 | 私と先生のおふね | 曽我 真理愛 | 小2 | A1級 |
入選 | 「風車小屋だより」とピアノ曲「木いちご」 | 氏家 小桜 | 小3 | B級 |
入選 | さかさ かさ のメッセージ | スペンサー 優姫 | 小4 | B級 |
入選 | きれいな音色をめざして | 田村 莉愛 | 小4 | B級 |
入選 | D級の壁 | 田淵 羽音 | 中1 | D級 |
審査
- ピティナ理事 江崎光世
- ピティナ理事 林苑子
- ピティナ専務理事 福田成康
- ピティナ事務局長 加藤哲礼
- ピティナ本部事務局
作文:特選
ピティナ会長賞

「あなたたちの演奏はデュオじゃない。」
この一言から私たちのコンペは始まった。
小学校生活最後の思い出に連弾でコンペに出ようと栞ちゃんに誘われた。練習を始めるとソロの曲よりも簡単に感じた。楽勝かも。自信満々でレッスンに行った。最後まで合わせることができ、ほめてもらえると期待していると先生からの一言は意外なものだった。
デュオじゃないってどういう意味だろう。私たちは先生の言葉の意味が分からなかった。最後まで二人とも、間違えないで合わせることができているのに・・。
「どうやったらデュオになれるか二人で考えてきてね。来週までの宿題ね。」
と言われ最初のレッスンは終わった。栞ちゃんと私は一緒に考えた。強弱のことかな?それとも速さ?二人のブレス?大切だと思うことを直していった。今度こそ大丈夫。しかし次の週もその次の週も、
「やっぱり二人の演奏はデュオじゃない。」
と言われてしまう。思うように練習が進まない中、模擬コンペの日になった。いつもコンぺに参加しているお姉さんペアもいた。
「私がここで盛り上げるから、つなげてね。」
「ここはダンスをしているイメージだね。」
二人の会話を聞いてハッとした。デュオになるって・・。それまでの私たちは、お互いのパートを間違えないように弾くことばかりに一生懸命になっていた。でもそれではだめなのだ。栞ちゃんと私が弾くだけではデュオになれない。二人で一つになって二人の音楽をつくる。お姉さんペアからデュオになるヒントをもらった私たちは、それからどう弾きたいかを話し合った。お互いの音や手の動きを合わせて弾けるように一生懸命練習した。先生からも、
「だんだんデュオらしくなってきたね。」
とほめてもらえるようになった。そしていよいよ本番。弾き始めようとしたその時、栞ちゃんの手を見ると震えていた。緊張しやすいという栞ちゃんの言葉を思い出した。緊張がほぐれるように笑って栞ちゃんの顔を見た。栞ちゃんも笑顔で返してくれた。大丈夫。栞ちゃんに届けと思いながら一音一音大切に弾いた。最初は震えていた栞ちゃんの手も曲が始まると落ちついていた。二人の呼吸を合わせる。音をよく聞いて手の動きを揃える。二人で音楽をつくろうと思いながら、精一杯演奏した。結果は優秀賞。
「やったぁ。」
二人でだき合って喜んだ。
デュオになる。この言葉にはたくさんの意味があることに気づいた夏だった。二人で音楽をつくる。そのためには曲のイメージを話し合い音をよく聞くこと。相手を信じること。お互いを思いやり、同じ目標に向かって努力した経験は、様々な場面で役に立つと思う。小学校生活最後の夏の最高の思い出ができた。