特級室内楽研修会 開催レポート(7/12-13)
開催レポート
2025年7月12日(土)13日(日)
会場:東音ホール
講師 | 松田拓之先生(ヴァイオリン/NHK交響楽団)、光永雄高先生(ヴィオラ/スイス・ベルン交響楽団)、篠崎由紀先生(チェロ/ジャスミンTOKYOステーション代表)(敬称略) |
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受講生 | 2025ピティナ・ピアノコンペティション特級二次予選進出者(うち受講希望者)各日9名ずつ(ただし、1日目は当日欠席1名) 1日目:稲沢朋華、加藤皓介、佐藤あやめ、鈴木凛、長谷川美紀、増田珠里、間世田采伽、米倉令真 2日目:後藤美優、志賀由梨、菅井あゆむ、菅原琉聖、角谷春奈、高見真智人、津野絢音、西山響貴、仁宮花歌 |
2025年7月12日(土)~13日(日)、今年セミファイナルに室内楽課題が加わったことを受け、今年初の企画「特級 室内楽研修会」が開催され、特級二次予選進出者のうち希望者18名(うち1名が体調不良で当日欠席のため実際は17名)が受講しました。講師には、ピティナで室内楽教育をけん引するチェリストの篠崎由紀先生と、篠崎先生のコーディネートで、NHK交響楽団の松田拓之先生(ヴァイオリン)、スイス・ベルン交響楽団の光永雄高先生(ヴィオラ)と、国内外のオーケストラの一線で活躍するトップレベルの弦楽器プレーヤーをお迎えしました、
題材は、セミファイナルの課題となっている、「モーツァルト:ピアノ四重奏曲第1番K.478 第1楽章」。2日間それぞれ、9人ずつが、お互いのレッスンを聞き合うマスタークラス形式で行われ、同じ曲で冗長になるどころか、たった8分余りの作品から次々と学びを引き出す講師の先生方の的確な指導と、互いの音楽的なアイデアに刺激を受け合って、大変有意義な時間となりました。
7月12日:1日目
1日目は8名が受講。まずは25分ずつのレッスン。それぞれの受講生が、通し演奏を経験させていただき、プロの弦楽器の音を間近に聞きながら、実際に課題曲を演奏する貴重な体験をさせていただきました。そこからは3人の先生方が次々とアドバイスを繰り出すレッスン。ただし25分はとても短い時間なので、「マスタークラス形式」の良さを生かし、曲の様々な箇所を取り上げたり、それぞれがうまく行かない部分をもう一度合わせてみたりしながら、1日を通して全員で曲全体を学んでいくスタイルを取りました。
ひととおり8人のレッスンが終わると、「質疑応答」の時間でしたが、出てくる質問に「そのアイデア、ちょっと一緒に弾いてみましょう」と弦楽器の先生方が提案してくださり、再度、もうひとまわり、自分のやってみたいアイデアや気になる箇所を合わせてみて、アドバイスをいただく時間が設けられました。他の受講生が持っていたアイデアを自分も試してみたり、「これはどうでしょう?」と新たな提案が出てきたりと、さらに作品を深く掘り下げる時間となり、時に講師の先生方も「そのアイデアはいいですね!」と受講生たちの発案に賛同してくださって、互いに意見を出し合いながらひとつの音楽を創り上げていくプロフェッショナルな時間の一端を体験させていただきました。
7月13日:2日目
2日目は、異なる9名が受講。進め方は同じでも、違うピアニストたちが集まると1日目とは異なる様々な発想が出てきます。あらゆる角度から音楽を掘り下げる松田先生の的確で内容の詰まったレッスン、調性の性格や和声感を大事にした光永先生のアドバイス、そして数多のピアノ奏者と演奏してきた経験からピアノのことも知り尽くした篠崎先生のピンポイントで刺さる助言が組み合わさり、豊富な演奏経験から来るお三方の素晴らしい導きで、受講生の音楽がどんどん豊かになっていきます。
2日目も、午後になり、質疑応答(再演)タイムになると、受講生たちはすっかりリラックスして、自らのアイデアや疑問を先生方に素直にぶつけ、先生方も同じ音楽を志す先輩として、最後の最後まで熱心にアドバイスをくださいました。2日間、素晴らしいアンサンブルの時間を味わい、志あらたに、迫ってきた二次予選・三次予選の健闘を誓いあいながら、初の試みである「室内楽研修会」を終えました。
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会
