コンペ開幕&課題曲聴き比べ 公開記念 演奏ピアニストにインタビュー♪
今年も5人の素敵なピアニストの皆さんにA2級からC級までの課題曲を録音していただきました。いずれも、小さな頃からピアノコンクールにチャレンジしてきた「先輩」たちです。コンクールの思い出、緊張の対策や練習のコツ、お気に入りの作品など、今年、同じ課題曲でコンペに向けて準備する皆さんへエールを込めたメッセージをいただきました。
ぼんやりとではありますが覚えています。実際には広い会場ではありませんでしたが自分の記憶の中ではとても大きな会場で緊張したことをおぼえています。
小学校3年生の時にピティナに参加したB級の舞台をよく覚えています。その時に弾いた ブルグミュラーの「貴婦人の乗馬」がお気に入り で、自分で初めてお話を作って演奏した作品でした。
はじめてのコンクールはピティナでした。通っていた地元の楽器店が会場だったことや、同じ教室の友達も一緒に参加していたことで、発表会のような感覚で受けていたと思います。点数や講評を見て一喜一憂したり、次はもっと良い結果になるように、と努力していたことを覚えています。
わたしが初めてコンクールに出たのは、地元鹿児島のコンクールで、小学3年生のときでした。当時はあまり緊張しないタイプで、出番を待つときに隣の席の子とお友達になっていました!演奏についてはあまり記憶がないのですが(笑)、 おばあちゃん手作りの水色のドレスを着ることができて嬉しかった 思い出があります。
小学2年生のときに初めて音楽教室主催のコンクールに参加しました。 たくさんの人に聴いていただけることが嬉しくて、ワクワク していたことを思い出します。
僕はよく緊張しますが、 緊張することが必ずしも悪いことだと思わない ように心がけています。準備がしっかり出来ていると思うようにしています。
本番前のステージ袖が一番緊張している瞬間ですが、落ち着いて音楽に集中できるルーティーンをしています。私の場合は、 演奏する作品や一音目の出し方のイメージを頭の中でしながら、深呼吸やストレッチ などをしています。そして「練習を十二分にしてきたから、絶対大丈夫!」ともおまじないをかけています。そのため、 本番に向けての練習の質や積み重ねが大切 になってくると思っています。
「お客さんはみんな、自分の演奏が聴けることを楽しみにしている」と思うと少し心が落ち着きます。
ただ元も子もないことを言うと、ステージ袖でなるべく緊張しないように普段から練習します。例えば、友達と休み時間に遊ぶ鬼ごっこと、運動会の徒競走で1番を目指して走る時では緊張感が全然違います。ピアノも同じで、家でひとりピアノに向き合って練習することもとても大事ですが、
人前で弾くことを意識した練習
を普段から重ねておけば、いざ舞台で弾く時になっても普段と同じことをすればいいだけです。超一流のピアニストたちですらいつも緊張していると聞きます。
緊張することは当たり前、緊張しないことは無理なので、準備が何より大切
だと思います。
どれだけ本番を経験しても、緊張をなくすことは難しいので、 緊張していることをネガティブに考えない ようにしています。「このホールはどんな響きがするのかな?」「ピアノはどんな音がするんだろう?」「弾くのが楽しみ!」という感じで、 気持ちを前向きな方向へ 持っていけるように心がけています。
本番前のルーティンを決めていたこともあったのですが、それが崩れてしまうと不安になってしまうので、今は 細かいことは気にせずリラックス するようにしています。じっと座っていると身体がかたまってしまうため、 大きく深呼吸をしながら歩いたり、ストレッチをしたりする ことを心掛けています。
音に出す前になるべく音楽的な大まかなイメージを感じる ようにしています。調性やテンポなどを確認して音楽のキャラクターがはっきりした後で音に出すようにしています。
どのような曲でもまず 楽譜をよく読む ように心掛けています。それは音を読むだけでなく、 作曲家が記した全てを見落とさない ようにします。そしてその意図を考えながら譜読みしていきます。同時に曲のイメージを膨らませて、自分が出したい音色やタッチを探していきます。イメージを膨らませる為に、曲の成り立ちや作曲家について、時代背景を学び、引き出しを増やすようにしています。
まずは 両手でゆっくり最初から最後まで 弾きます。どんな曲なのか、ここが難しそうだな、などを確認したら片手ずつ練習します。長い曲であれば、今日はここからここまでなどと 区切って練習 することも多いです。作曲家が書いたすべての情報を見逃すことのないように、 じっくり楽譜を見ながら 練習します。
まずは、 調性や曲の持つ雰囲気をキャッチ するように意識しています。わたしは譜読みが遅いタイプなので、なるべく音をとるだけにならないように、 譜読みの段階から歌いまわしを考えたり、音色の種類を考えたりしながら 弾くように心がけています。
まずは最初から最後までざっと通して 作品の全体像を掴んで います。初日には指遣いやペダリングも大まかに決めてしまいます。それからフレーズごとの練習を進めながら、細かい表現を考えていきます。
自分の音を聴くということは非常に難しいことではありますが、まず自分がどのような音色を必要なのか明確にイメージしてその イメージした音色が楽器上で表現できているかを意識的に聴く ことが重要になってくるのではないでしょうか。
<作曲家の声に耳を傾ける> 感覚でしょうか。というと少し抽象的ですが、耳を開いて空間で響きを聞くことに集中します。「聴く」為には、良い耳を持つ事が大切だと考えています。コンサートに足を運んだり、室内楽をして相手の音を聴く等して耳を育てるようにしています。
感覚的なことを言葉で説明することはとても難しいので、何かの参考になればと私が実際に今も行っている方法を紹介します。
ある程度練習を重ねてからやることですが、まず他人の録音を聴く、そして自分の録音を聴く、最後に別の他人の録音を聴く、という方法です。
比較して客観的に演奏を聴くことで、自分の演奏がどう聞こえているか、何が自分がやりたいことなのかがはっきりわかります
。案外、録音した自分の演奏は思っていたのと違うように聞こえてくることがあると思います。その誤差をなくしていくと、自然と自分の音を聴けるようになっていると思います。
また、自分の中に出したい音がない限り、その音が出てくることはないので、良い演奏家、往年の名ピアニストたちの演奏をたくさん聴いてほしいです。
わたしもよく「音を聴いて!」と先生に言われていました!「聴いてるつもりなんだけどなぁ」と思いつつも、少し意識するだけで演奏がガラッと変わることもありました。
自分の耳が顔の横についているのではなくて、ホールの一番後ろにあって、そこで自分の音を聴いている
、というふうに頭の中でイメージしてみると、自分の音が普段より客観的に聴けるような気がします。
中学・高校とお世話になっていた池田寿美子先生は、よく 「心は熱く、頭は冷静に」 と仰っていました。わたしの場合、音楽に入り込みすぎると音を聴くことが疎かになることが多いので、音楽との距離感に気をつけています。 まるで聴衆として聴いているように 、自分の演奏も客観的に聴けることが理想の感覚だと思います。
シューマンの「はじめての悲しみ」です。音数も少なくシンプルな動きの作品ですが右手と左手のパッセージが重なり合い、美しく、そして切ない響きを作り上げているからです。
どの作品も魅力的で選ぶのが難しいです…。小さい頃に弾いていた作品も多く、改めて取り組むと新たな発見も沢山ありました。その中で敢えて選ぶなら、 B級のギロックのフラメンコ は、数年前に訪れたスペインで見たフラメンコを思い出しながら演奏していたので印象に残っています。 実際に肌で感じたスペインの空気感や情熱に溢れたフラメンコは、自分の中でとても新鮮だった経験 の一つですので、それを作品に活かせるように演奏しました。
「舞曲」(A1級バロック)や「ブレ」(B級バロック) は、当時、宮廷で親しまれていた踊りをイメージしながら楽しく演奏しました。また 「いろえんぴつ ならんだ」(A2級)、「たけとんぼ、とんでった」(A1級)や「小人のパレード」(B級) といった日本人の作曲家の作品(いずれも近現代)は童心に帰るようで楽しかったです。
今年の課題曲も、どの曲もそれぞれ魅力があり素敵な作品ばかりで、楽しみながら演奏させていただきました♪その中でも印象に残っている曲は、 C級近現代のシャミナードの「牧歌」 です。シャミナードはフランスの女性作曲家で、彼女の作品は優雅でお洒落なものが多く、個人的にとても好きな作曲家だったので選ばせていただきました。 お花がふわっと香ってくるような上品な雰囲気と、シャミナードらしいお洒落な和声や転調 を感じられるところがとても魅力的な作品だと思います。
ハイドンの「アレグロ」や三善晃さんの「手折られた潮騒」 は、子供のときにコンクールで演奏した作品だったので、当時の 舞台での緊張感や練習に励んだ日々を思い出しながら 練習をしていました。また「あのときはこう弾いたけど、こうしてみたらどうだろう」と、小さい頃にはできなかった表現にもチャレンジしてみました。
結果に一喜一憂することなくコンペに参加することで色々な音楽に触れ、音楽の楽しさや奥深さを感じてほしいと思います。
ピティナに参加される皆様にとって、音楽をする喜びが人生の宝物となりますように!ぜひお気に入りの作品を見つけて、取り組んで下さいね。応援しています!
何かで一番を目指して努力すること、昨日の自分より今日の自分、と挑戦すること自体が何より大切で、凄いことだと思います。思うような結果が出ないことだってありますが、何も気にする必要はありません。私は子どもの頃、コンクールで良い結果をもらえたことなんて一度もありません。夏休みの間も毎日練習に励む皆さんを心から尊敬します。おひとりおひとりが、自分はやり切ったと思える充実した夏になることを応援しています。
今年も熱いコンペシーズンが始まりましたね!新しい作品との出会いにワクワクしているところかと思います♪この企画が、少しでも自分らしい音や表現を見つけるきっかけのひとつとなれば嬉しいです!本番は緊張することもあると思いますが、ステージで演奏する喜びやときめきを感じて、みなさんが楽しんで演奏できるように心から応援しています!
「100回の練習より1回の本番」とよく言われる通り、舞台で演奏することでしか得ることのできない経験があります。ときには本番で緊張してしまったり、練習がしんどくなったり、大変なこともあるかもしれませんが、ご家族の皆さまや先生方と一緒に今しかできないかけがえのない時間が過ごせますように…応援しています!