ピティナ・ピアノコンペティション

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学習効果を高めるコンペ課題曲とその活用法

学習効果を高める
コンペ課題曲とその活用法
~コンペ・オフシーズンの今だからこそ考える課題曲~

ピティナ・ピアノコンペティション課題曲は、各級4期の中で限られた枠組みの中で当てはめられています。毎年紹介される課題曲はどのような意図で選定されているでしょうか。課題曲選定委員会の先生方の鼎談と併せて、その活用などについて紹介します。

お話を伺った課題曲選定委員の先生方
(写真右より)本多昌子 委員長/田中貴子 委員/笹山美由紀 委員


課題曲選定委員が語る コンペ課題曲の活用ノウハウ

知識を拡げる

コンペ課題曲を通して知る領域を広げる
本多昌子委員長より
ピティナ・ピアノコンペティションの課題曲は「4期」という区分で曲を分け、それぞれ一つずつ曲を選んで参加する仕組みになっています。これは 音楽の歴史を知る・学習する機会 でもあります。例えばベートーヴェンの音楽が突然生まれたわけではなくて、歴史の中での連続性というものを知る必要があります。4期の課題曲を弾いて、バロック・クラシック・ロマン・近現代という音楽の流れを知ることが大事なのではないかと思います。課題曲には、モンポウやイベ―ルといったあまり子どもたちに知られていない曲を入れてみることもあります。 知らない曲の楽譜を見てみる ということも大切ですね。課題曲をきっかけに 新しい曲を知り、世界を拡げていただきたい なと思います。

テクニックを拡げる

コンペオフシーズン(秋冬)のコンペ課題曲活用
笹山美由紀委員より
夏のコンペティションで「4期」をしっかり学習していると、秋冬のブルグミュラーコンクール、バッハコンクールといった別のコンクールにも取り組みやすくなりますね。私の教室では、コンペティションは結果は重視せず、 モチベーション維持のため に生徒に出場してもらっています。コンペが終わっても、3か月に1回、ステップなどの ステージの機会を設けて場数を踏んでもらう ことで、 学習意欲をキープ するようにしています。
田中貴子委員より
A2級(未就学児が対象の級)に出た生徒さんが、夏のコンペが終わったあとに自分から「次はこれを弾きたい!!」と 自分からレッスンの曲を提案してくれるようになった ことがありました。年次の低い級では、「結果を出さなきゃ」と焦るよりも、指導者の先生が 課題曲の中で子どもが面白いと思えるようなポイントを探して、いかにレッスンできるか ということが大事なのではないかと思います。
本多昌子委員長より
コンペの期間も大事ですが、結局コンペがないときの過ごし方、その学び方がコンペに繋がると思うのですよね。例えば、コンペ課題曲に出ていたカバレフスキーやチャイコフスキーの曲、 課題曲以外の曲も含めてその楽譜、曲集まるごと弾いてみると、色々な曲想を知る ことができます。コンペ以外の時期に、どれだけそういった曲に触れていたかということ、 広く浅く学ぶ時期 が、コンペでの魅力的な演奏の栄養になると思います。ですから、コンクールに費やす時間と、コンクール以外の時間を持つバランスも大切だなと思いますね。

指導力を磨く

コンペ課題曲を通して、楽譜の見方を鍛える
笹山美由紀委員より
今年の夏、昨年の冬から指導を始めた若い先生と一緒に、43組の生徒をコンペティションに参加させました。彼女はまず自分が教える生徒の 全部の課題曲をファイリングして、この曲はどういう観点で教えればよいか、最終的に音楽としてかたちにするにはどうすればよいのか 、ということを1曲ずつ私と一緒に見ていきました。この夏に沢山の課題曲を勉強して、彼女自身の演奏技術も大きく向上したようです。まず A2級~C級くらいまでの楽譜を網羅的に読むことで、楽譜の見方、読み方のコツが掴めてくる と思います。それをコンペ課題曲を通じて毎年繰り返すことで、D級以降の大曲の理解にも繋がっていくように思いますね。
田中貴子委員より
楽譜のポイントを自分で読み取って指導していくことは、 指導者の自立にもとても大切なこと だと思います。誰かに言われた通り、何かに書いてある通りにするということに留まらず、 自分で楽譜を読み取り、そこから自分で楽器を弾いて表現していく というところまで、生徒を導いていくのも、私達指導者の大切な役目だと思います。そのためには、まず指導者自身が楽譜を読んで勉強していただきたいなと思いますし、コンペ課題曲は、そうした指導者の学びに繋がって欲しい願いも込めて、選定しています。

将来の力につなげる

コンペ課題曲を継続して学び、積み重ねることで、年齢に応じた力を身に着けていく
田中貴子委員より
2023年に初めて生徒をコンペティションに出場させようと考えている指導者の先生の中には、「どうやって課題曲を選べばよいか」と不安に思う方もいるかもしれません。 コンペティションの課題曲は、一つ一つの曲に、 技術的・音楽的なポイント があります。例えばたった8小節の課題曲でも、課題曲にどんなことが意図されているのか、指導者の先生自身が勉強できるように選曲しています。まずは その級の全部の課題曲を見ていく つもりで、勉強してみてください。レッスンの経験を重ねて、身に着けた指導力を自分の財産として積み上げていってほしいと思います。
本多昌子委員長より
課題曲選定の面では、C級までの基礎的な部分をおさえた、密度の高い課題曲選定があるから、D級以上で新しい曲や作曲家などの課題曲選定に冒険できるというのがありますね。また学習者、指導者にとっても、 A2級からC級までの課題曲で基礎的な部分をしっかり読み込んで取り組むということが、D級以上に繋がってくる と思います。やはり、音楽の勉強、ピアノの勉強には、近道はないし、積み重ねだと思いますね。

課題曲選定への想い

一同より
コンクールも大切だけれど、やっぱり子供たちが 音楽好きな子 であってほしい、 心が豊かな子 になってほしいというのが最終的な願いですね。それを育てる課題曲を作っていくのが、私達、課題曲選定委員会で取り組んでることかなと思っています。
来年度も楽しい課題曲がたくさん待っていますので、来年も課題曲を通して学びの世界を拡げていただきたいと思います。

2022年度に演奏された課題曲ランキング

コンペティション2022年度の予選(※)で演奏された課題曲について、ランキングを一部紹介します。

  • 予選では必ず近現代から1曲選択。

コンペティション予選で最も演奏された組み合わせ

2022年度の課題曲ランキング詳細

動画コンテンツでコンペ課題曲を学ぶ

ピティナeラーニングでは毎年コンペティション課題曲について多数のコンテンツを公開しています。現在、2022年度のものだけでも134の動画を配信中。様々な課題曲について解説が行われています。視聴して得た学びをご自身の指導に取り入れてみるのもひとつの手です。

生徒が笑顔になるアナリーゼ・ライブレッスン
2022年度コンペティション近現代課題曲研究
2022年度コンペ課題曲 A1級のレッスンポイント
▼ eラーニング視聴はこちら ▼

新曲募集事業について

ピティナ・ピアノコンペティションでは新しい課題曲作品を一般公募しています。
入賞した作品は、毎年カワイ出版にて楽譜を出版します。
新進気鋭の作曲家たちの作品との新しい出会いも、コンペ課題曲を演奏することの魅力のひとつです。

2022年度の課題曲に採用された作品

A2級 後藤 ミカ:だれかいるの?
B級 河井 響:からくりどけい
C級 小澤 邦彦:La folletta
D級 斉藤 まり:想い
連弾初級A 久米 詔子:おおきなかぶ
連弾初級B 荒木 千佳:ステップ・バイ・ステップ
連弾初級C 吉田 祐子:なにして遊ぶ?
新曲事業について