ピティナ・ピアノコンペティション

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2021特級セミファイナル新曲は、山中惇史氏に作曲を委嘱しました

いよいよクライマックス、セミファイナルを8月16日に控えた2021年度の特級。8/3の三次予選終了後にセミファイナリストに初めて配布され、セミファイナルで7人によって「初演」される新曲課題曲、今年は、作曲家の山中惇史先生に委嘱いたしました。ご自身もピアノ科にも学んだ現役のピアニストでもあり、コンクールのステージに出ていくコンテスタントたちの孤独と勇気に寄り添い、そこにご自身の原体験を重ね合わせながら、ぎりぎりまで作曲と推敲を重ねて、この日この時のための作品を生み出してくださいました。心より御礼申し上げます。

また、作曲の過程において、昨年に引き続きピアニストの片山柊さん(2017年度特級グランプリ)に監修をお願いしました。表記の意味やニュアンスなど、演奏者・コンテスタントの側から、そして同じく作曲する側からも、多くの有益な示唆やご指摘をいただき、重要な役割を果たしていただきました。

8月16日、「翡翠の時」に命が宿ります。7人7様の音楽が飛び立つとき。その感動的な瞬間を、お見逃しなく!


★新曲課題 タイトル
「翡翠(かわせみ)の時」(2021)

演奏時間4分程度

◆ 作曲家・山中惇史先生よりメッセージ
特級セミファイナル 出場の皆様へ

舞台にピアノと一人、姿はないけれど作曲家と。その場で音楽が生み出される瞬間瞬間が、美しくも儚い、そしてどこか非日常的な「切り取られたような時空間」のように感じます。そんな空間を創り出し得る皆様のイマジネーションへの可能性に胸を高鳴らせながら作曲しました。現代に生まれた音楽だからといって、特別に感じずに、ありのままの感性を聴かせていただけることを期待しています。

「翡翠の時」 作品に寄せて

小学校からの帰り道、生茂る木々を分け入った先に小さなほとりがあり、枝の先に翡翠が。息を飲むように、そっと覗き見たエメラルドグリーンの美しさは今でも脳裏に鮮烈に焼き付いています。

コンクールという極限状態にさらされる場に音楽への愛を携え挑もうとする皆さんを思った時、何故かその翡翠の凛とした姿が頭によぎりました。この上なく純で、一瞬で過ぎ去る幻の時。

ファンタジーを持って演奏していただければ幸いです。

プロフィール
山中惇史(やまなか・あつし):東京藝術大学音楽学部作曲科・ピアノ科両科を卒業。同大学音楽研究科修士課程作曲専攻修了。第26回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門第1位。ピアニストとしては2018年にリサイタルデビュー、また共演者として信頼も厚く国内外の著名なアーティストから指名を受け共演を重ね、参加した各CDはレコード芸術誌にて特選盤、準特選盤に選出されている。東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団など多数のオーケストラとの共演、作品が演奏されている。東京芸術大学非常勤講師。
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◆ 監修・片山柊さん(2017グランプリ)からのメッセージ

昨年に続き、特級新曲課題の監修を務めさせていただきました。

作曲家と演奏家は常に切り離せない関係で、演奏家は作曲家の生み出した音楽を語り継いでいく役割があり、どの時代に生まれた作品もこれからの未来へ向け表現を続けて行く必要があります。今回の山中惇史さんによる「翡翠の時」もその様な可能性に満ち溢れる作品だと確信しています。
コンテスタントの皆さんにとって短い期間で仕上げなければいけない大変な課題ですが、今回だけに留まらず色々な場所で演奏して行ってもらいたく思っています。