ピティナ・ピアノコンペティション

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Pre特級マスタークラス 開催レポート(7/7)

2024ピティナ・ピアノコンペティション
Pre特級マスタークラス
開催レポート

2024年7月7日(日)
会場協力:武蔵野音楽大学

講師 キハラ良尚、矢野雄太、飯田有抄 (敬称略)
伴奏講師 金子淳、篠永紗也子、内匠慧 (敬称略)
受講生 阿部小百合、天野薫、稲沢朋華、氏原大貴、大倉佳世、大庭愛、小野口夕月、鎌田紗綾、岸野花音、公文美良、柴田陽人、島田瑚子、高見真智人、土田裕利、長谷川愛華、長谷川祐音(五十音順)

7月7日(日)、今年2024年がはじめての企画となる「Pre特級マスタークラス」が、武蔵野音楽大学の会場協力を得て開催され、Pre特級二次予選進出者のうち希望者15名が受講しました。「特級への準備」というPre特級の設置目的に鑑み、「私の演奏」から「聴いてくださる方へ届ける演奏」「他の人と一緒に創っていく演奏」へとグレードアップするために、(1)コンチェルトのマスタークラス、(2)アーティストに必要なものを考えるワークショップの二本立てで、1日、じっくりと学びました。白熱の1日をレポートします。

事前リハーサル(ピアノ伴奏者と)

まず、受講生15名は、ピティナが割り当てた公式伴奏者の先生方と、前日までに45分ずつのリハーサルを行い、みっちりとアンサンブルのポイントを確認しながら、時に、より魅力的な演奏にするためのアドバイスをもらいました。

公式伴奏者は、特級の歴代の入賞者から、金子淳先生(2010銅賞)篠永紗也子先生(2015グランプリ)内匠慧先生(2011銀賞)が担当。それぞれに献身的なサポートで受講生を最後まで支えました。

オープニングセッション

7月7日(日)、酷暑の朝となりましたが15名全員が元気に武蔵野音大に集合しました。冒頭は、皆がウィンドアンサンブルホールに集まってオープニングセッション。福田成康ピティナ専務理事から、G級と特級の間に作られたPre特級の意義、「責任を伴って演奏するアーティストの意識を、今日をきっかけに徐々に持ち始めてほしい」とマスタークラスの意図が説明され、その後、講師・受講生皆が自己紹介をして1日がスタートしました。

指揮者によるコンチェルトレッスン

三次予選で課されるピアノコンチェルトについて学びを深めるため、気鋭の指揮者を講師に迎えてのレッスンが行われました。講師は、キハラ良尚先生(東京混声合唱団常任指揮者、国立音楽大学講師)と矢野雄太先生(東京藝術大学非常勤講師)。矢野先生は、ご自身がピティナのコンペティションに長年参加し、G級や特級でも入賞したのち、指揮者としても活躍しています。レッスンは、互いに学び合う「マスタークラス」形式で行われました。

①キハラ良尚先生

オペラや合唱の経験豊富なキハラ先生は、呼吸の深さ、フレーズの長さ、特にオーケストラと呼吸を合わせることについて、ピアノパートだけを見ているだけでは得られない実践的なアドバイスを次々と提供。ピアノパートの短く浅い呼吸だったものが、キハラ先生の指揮と音楽を感じながら演奏することで、どんどんスケールアップしていきました。

レッスンが終わってからも積極的に質問に

②矢野雄太先生

矢野先生の指導は、ソリストの意図を「1人で」ではなく「オーケストラと一緒に」実現するとしたらどのように表現するのが効果的かという観点から、あくまでもピアニストの意志を尊重しつつ、的確にその効果を最大化するように導いていきます。「合わせる」のも、ただタテの線を合わせようとするよりは、音楽的な呼吸や方向性を重ね、到達点でピタリと合うように持っていくことで、細部が合っているよりも豊かなアンサンブルができることが示されました。

ランチではすっかり打ち解けた雰囲気に

飯田有抄先生によるワークショップ

別室で行われたのは、クラシック音楽ファシリテーターで多くのアーティストや若い音楽家をインタビューしてきた飯田有抄先生のワークショップ。「これからのアーティストに必要なものは何か」と題して、自分なりの方法で自分の目指す音楽を表現することの大切さや、それが演奏にも良い影響を及ぼすことをレクチャー。実際に音楽雑誌やメディア向けの取材を数多く実施してきた飯田さんが1人ひとりに模擬インタビューをしながら、明るく楽しく、そして深く真剣に一緒に考える時間となりました。飯田先生も「若い人たちに高度な順応力や自己開示力があり、言語化能力のベースも高いことに非常に驚いた1日でした!」と受講生の積極性とポテンシャルに感激していらっしゃいました。

クロージングセッション

最後にもう一度、皆でホールに集まり、今日のまとめ。キハラ先生、矢野先生、飯田先生それぞれから、今日の総括とこれからに向けてのアドバイスが送られ、長い一日が終わりました。

終了後も、公式伴奏者の先生方がさらにアドバイスしたり、受講生どうしで交流し、記念写真を撮影したりと、すっかり打ち解けた様子です。二次・三次予選への健闘を約束し合い、名残惜しく解散しました。

Pre特級の二次予選(ソロ)は8月2日、三次予選(ピアノ伴奏によるコンチェルト)は8月6日に行われます。