ピティナ・ピアノコンペティション

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Jr.G級マスタークラス 開催レポート(6/22-23)

2024ピティナ・ピアノコンペティション
Jr.G級マスタークラス
開催レポート

2024年6月22日(土)23日(日) 
会場協力:桐朋学園大学

講師 ヘンリ・シーグフリードソン、古屋晋一
通訳 千田直子(以上、敬称略)
受講生 飯田円、川口篤志、桜庭花音、清木悠矢、高宮奈月、田口尊啓、中山裕稀、西堀比奈子、原菜月、藤本茉理恵、三林飛鳥、三山政一郎、安井友理、八尋俊司、渡部晃世(五十音順)

6/22(土)23(日)、桐朋学園大学の会場協力により、4月の予選から全国大会に進出した15名を対象とした「Jr.G級のためのマスタークラス」が開催されました。すでに15年以上の歴史を持ち、数多くの国際コンクール入賞者も巣立ったこのイベントは、8月の全国大会を前に、1泊2日の「合宿」で音楽を総合的に学ぶ育英企画です。

1日目

①ヘンリ・シーグフリードソン先生マスタークラス

大部屋では、海外招聘教授のヘンリ・シーグフリードソン先生(ドイツ・フォルクヴァング芸術大学教授)によるレッスンが早速始まりました。5人が1グループとなり、これまでなかなか経験したことのない「マスタークラス」形式(お互いに聴講しながら学び合う)で、自分のレッスンだけでなく他の受講生のレッスンからも学んでいきます。最初のうちは、お互いにぎこちなく、まだ少し緊張の様子も見られましたが、シーグフリードソン先生の気さくであたたかなお人柄と的確なアドバイス、2008年から当企画の通訳を務めてくださっている千田直子先生の絶妙のアシストで、場の空気もだんだんほぐれていきました。

②古屋晋一先生ワークショップ

一方、別の部屋では、もう1グループのチームが、古屋晋一先生(ソニーコンピューターサイエンス研究所リサーチディレクター・シニアリサーチャー)による指導を受けました。古屋先生は、演奏家、特にピアニストの脳と身体の研究では世界トップレベルの第一人者。単に研究するだけでなく、その成果を演奏家に還元し、多くのピアニストから信頼を集めています。2018年からJr.G級のプロジェクトにご協力いただいており、今回も、古屋先生の指導を楽しみに参加した受講生も多く見られました。

それぞれの受講生が、今取り組んでいる楽曲の弾きにくい部分や、深い音・大きな音・繊細な音が出ないといった具体的な悩みを持ち寄り、実際にピアノを弾きながら、皆で一緒に考え、体の構造を学びながら、「欲している音」を探す<実験>を重ねます。こちらもグループレッスン形式で、他の受講生の悩みとその解決のプロセスにも、皆、興味深そうに耳を傾けていました。

③懇親会

長い長い1日が終わると、近隣のレストランに移動し、コロナ禍では中断していた久々の懇親会を開催。充実した1日のうちに共通の経験を得た生徒たちは、いつのまにか、あっというまに仲良くなり、子どもたちだけですっかり打ち解けています。一方、保護者の皆様も、日ごろの悩みを共有し合いながら、和気あいあいと交流を深めます。

2日目

④シーグフリードソン先生マスタークラス

翌朝、ふたたび桐朋学園大学に集った受講生たち。昨日と異なり、緊張もほぐれ、リラックスした中に、高い意欲をもって、シーグフリードソン先生からさらなるレッスンを受けます。先生も、昨日のレッスンの様子を受けて、各生徒ごとに「2日目に教えてあげたいポイント」を整理してきてくださっており、20分ほどのショートレッスンながら、テンポよく、たった20分とは思えないほど濃密な時間が展開しました。

⑤古屋晋一先生 保護者セミナー

2日目の古屋先生は大忙し。まずは、保護者の皆様に15分ほどお集まりいただき、素晴らしい才能をもったピアニストたちを見守る難しい立場になった保護者の皆様に知っておいていただきたいことをミニレクチャー。ソニーのアカデミーでも豊富な経験を持つ古屋先生のアドバイスに、親御さんたちは熱心に耳を傾け、予定時間を大幅にオーバーして多くの質問が寄せられました。

⑥古屋晋一先生 個別クリニック

さらに古屋先生は、各練習室で復習をしている各生徒のところを順番に訪れ、個別に質問を受けたりミニレッスンをしたりと大忙し。生徒たちも、ここぞとばかり先生をつかまえて、日ごろの疑問を熱心にぶつけます。1分1秒を惜しんで練習室を巡回する古屋先生の情熱に、保護者の皆様も圧倒されていました。

また、練習室にこもるばかりでなく、空き時間の生徒たちは徐々にシーグフリードソン先生のレッスン室に集まり、他の受講生のレッスンも自発的に聴講するようになっていきました。この2日間で「アーティスト」としての自覚が芽生え始めていることが見て取れる光景です。

⑦修了コンサート&修了式

盛りだくさんの2日間の最後は、まとめの「修了コンサート」。15人全員が学びの成果を披露し、「競争する」のではなく、「互いを認め合い、互いに高め合う」雰囲気に包まれて、見学の保護者・指導者の皆様から受講生たちに大きな拍手が送られました。最後には、講師のお二人から受講生たちに修了証書とさらなるアドバイスを記入した講評用紙が授与されて、2日間にわたるJr.G級マスタークラスは幕を閉じました。

2日間、全力で音楽を学び、そして笑顔で交流を深めた15人のファイナリストたちは、8月17日(土)の全国大会での再会を約束して、全国各地への帰途につきました。