ピティナ・ピアノコンペティション

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審査員インタビュー 八田智大先生、小蔦寛二先生

審査員インタビュー
これからさらに輝く、若きピアニストの皆さんへ
八田智大先生(正会員)
はったともひろ◎高校卒業後渡仏。フランスではパリ•エコールノルマル音楽院、パリ国立地方音楽院、その後ポルトガルのカステロ・ブランコ国立芸術大学院卒業。現在フランス•パリ郊外のコンセルヴァトワールピアノ科講師及び伴奏ピアニスト。今年度、名古屋栄後期予選(愛知/7月8日・9日)、大泉学園予選(東京/7月21日)、東日本F級2本選(東京/7月31日)で審査員を務める。

今年初めてピティナの審査のご依頼を受けまして、昔、私自身が審査していただいた著名な先生方と同じ席で審査するという機会を頂戴し、大変光栄に思いました。さすがピティナの参加者と言うべきか、どの級の皆さんもよく準備され、それぞれの思いを胸に演奏する姿、音色にとても感心させられました。参加者皆さんにこの場を借りて拍手をお送りしたいです。

と同時に、私が全体の印象として最も強く感じたのが、曲の「拍子」を感じられていない参加者が多かったかな、ということです。音はしっかり弾けていてもメロディが歌えていない、また拍子を感じられていないがゆえに、前のめりな感じになってしまったり、フレーズ感が失われてしまったり…。一度、客観的に自分の演奏を聴いてみることをお勧めしたいです。コンクールですので結果が公開されますが、点数だけにとらわれず、次回またさらに良い音楽を作れるよう、どうかめげずに頑張ってほしいと強く願っています。

それにしても、日本は響きの良いホールのステージ上にしっかり調律されたピアノが置かれ、素晴らしい環境が整っていると感じました。そしてスムーズな運営等、改めて日本の音楽学習のフォロー体制の充実を感じる機会にもなりました。


目先の結果ではなく、長い目で見た成長を
小蔦寛二先生(指導会員)
こづたかんじ◎東京芸術大学、同大学院修了。ドイツ・ハノーファー音楽大学、ベルリン芸術大学修了。ブラームス国際コンクール第2位、バルチック国際コンクール第1位。エリザベト音楽大学、広島文化学園大学、安田女子大学講師。今年度、特級一次2予選(東京/6月10日・11日)、佐賀予選(佐賀/6月17日・18日)、桜木町2予選(神奈川/7月16日・17日)、2台ピアノ(大阪)予選(大阪/7月27日)、西日本グランミューズ本選(大阪/8月5日・6日)で審査員を務める。

コンペ審査では、参加者の皆さんの熱意や才能・努力、指導者の先生方やご家族の熱心なサポートが感じられます。思わず感心したり、心から感動する演奏に出会えたりすることもあり、聴かせていただくのを毎回楽しみにしています。

その反面、数分から数十分の演奏に点数をつけるのはとても難しいと感じます。審査員によって評価が分かれることもめずらしくありません。審査において何をどれほど重視するのかが違うからです。テンポやリズム・読譜の正確性、完成度の高さ、音色や響き、スケールの大きさ、選曲、ホールや楽器との相性、次も聴きたいと思えるかどうかなど、様々な要素を一つの点数に反映させるのは、非常に難しいことです。私は個人的な好みや印象に左右されすぎず、演奏の出来によって判断するように心がけていますが、悩まず点数をつけることはほとんどありません。

出てきた結果はあくまでその瞬間のものであり、参加者の持つ本来の能力や素質、将来性とは異なることも多いと思います。私自身も多くのコンクールを受けてきましたが、自分では良いと思った演奏が評価されず、悔しい思いをしたことも多々ありました。音楽はすぐに結果の出ないことが多い世界です。今の努力が何年も後に実を結ぶこともあり得ます。一度や二度のコンクールの結果を気にしすぎることなく、自分の演奏を振り返る機会として捉え、今後の成長の糧として自分のために有効活用していただけたらと願っています。

(会報OUR MUSIC 372号掲載記事より)