中高生で取り組むコンペの連弾
コロナ禍を経て、2022年、2023年と、コンペに連弾で参加する方が、益々増えています。学業や部活動等、学校生活も忙しくなる中高生にとって、ピアノの練習との両立は、大きな課題のひとつかと思われますが、連弾は、ソロに比べて「中高生になってからもコンペに参加」される人の割合が多くなっています。
中高生で取り組む連弾にスポットを当てて、この時期に連弾に取り組むメリットや、練習の工夫等、ご紹介いたします。
小学生と比べて、中高生は、ソロ人数との比較で連弾に参加する人の割合が大きくなっています。「連弾だから続けて参加している」人が、中高生から増えていると言えるかもしれません。
2023年コンペに参加した高校生(高1~高3)と、中3までにコンペ参加を終えた現在の高校3年生で、中学生までの連弾経験率を比べたところ、高校生でコンペに参加している人のうち42%が連弾でのコンペ参加経験がありました。連弾の経験が、高校生以降の継続に繋がると言えそうです。
2023年コンペに、中高生で連弾に参加された方の指導者を対象としたアンケートより、指導者から見た中高生で連弾に取り組むポイントをご紹介します。(有効回答数209件)
基本的に、連弾とソロを併願して参加される方が47.9%と最も多くなっていますが、中高生のポイントとしては、ある段階から連弾のみの参加に切り替える方が、36.3%と約3割を占めています。
ソロC級まで参加していた方が、49.3%と約半数を占め、続いてD級までの参加が37.7%となりました。ソロでC級、D級まで継続された方は、その後、ソロでの参加が難しくなった場合でも、連弾で継続しやすい、とも言えそうです。
- 個人のレッスン時間を前後になるように調整している。
- 年度の最初から連弾のペアを選び、その時間を前後にしてスケジュールを組む。
- レッスン曜日や時間をお互いの都合に合わせて組む。
- 学業に合わせて柔軟なレッスン時間を設け、スケジュールの話し合いを重視。
- レッスン時間の前後を調整し、短時間で集中的なレッスンを行う。
- 弾き合い会を設定して本番を想定した機会を増やしている。
- 2人の部活の予定表をもらい、一緒に練習やレッスン時間をあらかじめ決めている。
- 塾や部活が忙しい中で合わせが難しい場合、追加レッスンを通常レッスンの前後に組んでいる。
- お互いの進捗や課題について協力し合い、アドバイスや補講を行う。
- 予定を出し合い、練習予定を計画しておく。
- ペアの練習には、中間の場所や各家庭を活用。
- 中高生の場合、同じ学校でお昼休みに練習するなど可能な場合もある。
- レッスン日に練習室を予約制で無料で使える環境を提供。
- レッスン前後に第2レッスン室を貸し出し、合わせの時間を確保。
- レッスン日以外の合わせ練習を設け、空きが出た場合に調整。
- 動画で合わせる練習やイメージトレーニングを行っている。
- 学校終わりや塾に行く前の時間帯に練習場を借りて練習している。
- グループLINEで調整し、合わせの段階になったら朝練や夜練を取り入れる。
- 決まりごとを作って個人練習に徹底し、合わせ練習を効率よく進める。
- 短く集中して練習することを意識。
- 演奏動画を共有し、合わせる前にイメージトレーニングを行う。
- ペアを組む段階で練習場や保護者の協力が得られるか確認している。
- 自宅が近い生徒同士をペアに組ませ、レッスン時間も前後にしたり同じ時間を共有できるようにセッティングしている。
- 家族や親戚同士のペアを組み、練習場所の確保や協力がしやすくする。
- 兄弟姉妹ペアが多く、通常の個人レッスン日の他に土日や連休を利用して練習時間を組む。
- 兄弟姉妹連弾や友人同志のペアを奨励している。
- 兄弟姉妹で組むことは楽だが、他の人とも合わせてみると新たな刺激があり、やる気が高まる。
連弾は、相手と合わせる事で、音のバランス、呼吸感、テンポ、よく音を聴く、等、ソロと違う勉強が出来、必然的にソロ演奏にも反映され、皆さん上達します。ソロと並行して両方出来る事が望ましいですが、ソロも上級になると、出来る子が限られてきます。練習時間確保がなかなか難しいです。
ピアノの練習は孤独になりやすいので、連弾に取り組むことで仲間と励まし合いながら練習できて、子どもたちのモチベーションアップにつながっています。また、自分が結果を出すことだけ考えるのではなく、相手のよさを引き出すにはどうしたらいいのかを考えたり、練習内容や演奏表現について話し合うことで、コミュニケーション能力を養うこともできていると実感しています。
普段の教則本の練習や年一回の発表会だけではモチベーションがあがらず、コンペなどいつまでにこの曲を仕上げる、という期限が決まっていることも中高生にとっては良いのではと思っています。友達と一緒に頑張る、結果はどうあれ、達成感を味わったり、喜んだり悔しがったりの気持ちを共有したり、またどちらかの失敗でいい結果が出なかった時に相手を思いやる気持ちを持つなどピアノを通じて学ぶことが多いと思います。
やりたいことがあるなら、時間は自分で作れる、ピアノがあるから勉強できないということは無い…という後輩へのお手本にもなってくれています。
ソロではコンクールにチャレンジが難しい年齢に差し掛かるので、デュオがあることによって生徒さん達のやる気にスイッチが入ります。お互いの音を聴くことによりソロにも大きな影響が出ます。構成力もつくので連弾ってやはり良いですね。
2024年ピティナ・ピアノコンペティションでは、昨年につづき、課題曲のみを収載した「課題曲楽譜集」を発売します。
連弾初級A~連弾上級課題曲の中から、ミュッセで販売する楽譜などを中心に、12曲(+E級1曲)を掲載。連弾に興味をお持ちの方は、ぜひお手に取って連弾の課題曲に挑戦してみてください。
収録級 | E級(1曲)、連弾初級A(1曲)、連弾初級B(1曲)、連弾中級A(6曲)、連弾中級B(3曲)、連弾上級(1曲) |
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価格 | 3,080円(税込) |
販売期間 | 2024年3月1日~8月31日 |
2024年3月2日(土)12:55~16:00(予定)
ベルサール虎ノ門
- 各級の予選課題曲を中心に説明いたします。
連弾に取り組むことで、格段に耳が良くなり表現力が増します。普段のソロでは音数が多く余裕が無くなることもあるようですが、連弾では少ない音を丁寧に作ることが出来、結果、ソロでもレベルアップしていきます。連弾は思いやりから成り立つので、精神の成長も促されるように思います。
また、孤独なひとり練習だけではなく、仲間がいることで、ピアノ=楽しい となり、自発的に取り組みピアノが長続きしているようです。学校の部活動のような楽しさを作ることも大きな目的です。更に期日の決まった試合(コンクール)があると生徒、ご父兄、指導者の一体感が生まれて絆が深まります。