わたしのコンペティション活用法:松井 厚子先生(指導会員)
私の教室では、全体のおよそ四分の一がピティナ・ピアノコンペティションに挑戦しています。音大に進学した生徒さんが、コンペを通じて楽しみながら成長する姿を見たことで、積極的に指導に活用したいと思うようになりました。
一度参加すると、ほとんどの子が翌年も自主的に申し込んでくれます。「目標があったほうが練習を頑張れる」「色んな地域の人と同じ舞台で演奏できるから刺激になる」そうです。なので私からは新たに参加を促したい子に声をかけています。本番まで頑張りぬけそうだなと思ったら「課題曲には色んな時代の曲があるんだよ。弾きたい曲があったらやってみよう」と提案します。「賞を取れるかはわからないけど、確実に成長するよ」とも説明しますね。
また教室の発表会で配るプログラムに、コンペに参加している人の情報を載せています。「チャレンジしたらこんなに上手になるんだ」と、生徒さんも保護者の方もイメージが湧くようです。
レッスンでは本人がやりたいことを受け止めながら、一緒に曲を研究し、創り上げる感覚を持てるよう意識しています。その日のレッスンで何をしたか保護者の方に共有し、自宅練習でも課題をクリアできたか確認してもらいます。この機会に練習の習慣を身に着けてほしいと考えています。
コンペではたくさん成長の機会がありますが、特にありがたいのは審査員の先生のコメントが入った講評用紙です。私自身も勉強になりますし、必ず生徒さんと一緒に読んでいます。褒め言葉があったら共に喜び、課題が書いてあったら「今度はここを気を付けたらいいね、こんな練習をしようか」と声をかけると嬉しそうに聞いてくれて、モチベーションアップにつながっています。
講評に書かれた指摘や本人が気づいた反省点を、秋の発表会や冬のバッハコンクールに活かし成長するサイクルが定着しています。