コンペ指導のヒントー課題曲委員が語る!課題曲を読み解く効果
課題曲選定委員としての学び
20年ほど前に、私の娘が江崎光世先生(前コンペ課題曲委員長)の指導を受けるようになり、自分も娘と共に江崎先生から学び始めました。そのご縁で、15年前にコンペの課題曲選定に携わるようになりましたが、最初は右も左も分からない状態で、ただ我武者羅に先生と一緒に曲を読むということが始まりでした。ソロの方はA2~C級までの課題曲選定に携わらせていただいているのですが、皆さんも要項を見てご存知の通り、1つの級に13曲あり、4つの級×13曲=合計52曲を1年かけて選定していきます。52曲を選ぶためには、その数倍もの 膨大な量の曲を読む 必要があります。それを15年間続けてきてみて、楽譜を見た瞬間に、どのくらいのレベルの曲で、どういうところが子供たちに役立って勉強になるか、どういう雰囲気の曲か、という 曲の要素を素早くキャッチ できるようになりました。これが、課題曲選定委員をやらせていただいて、一番ありがたかったところです。たくさんの量の楽譜を読むということは、本当に勉強になります。
課題曲選定のポイントを自分で読み解いてみる
ぜひ、みなさんにも課題曲選定委員になったつもりで、今回の課題曲をたくさん見ていただきたいと思います。課題曲選定委員では、 その対象学年において学んで欲しい内容【音楽的要素】【経験してほしいテクニック】をバランスよく取り入れ、拍子や調性もバラエティーに富むよう 意識して選定しています。できるだけ幅広い方に参加していただけるように、例えばA2級ではピアノを習い始めたばかりの子供でも弾けるような易しいレベルの曲から、次の級へつながるようなテクニック的にも音楽的にも、少し難しい曲まで選定しています。それがどの曲で、どういう部分なのか、という選定のポイントを読み解きながら課題曲を見ていただけると、次第に学ぶべきポイントが分かり、それぞれの生徒さんに合った選曲にも役立つのではないかと思います。
自分で課題曲を弾いてみる
A2~C級までの課題曲は、ぜひ先生ご自身で弾いてみていただけると良いと思います。私も今年初めての試みとして、Zoom上で各級ごとに、対象級の生徒たちに参加してもらい、課題曲をひと通りザッと弾き、まずそれぞれ『好きな曲を選択してみよう!』という会をやってみました。偏った先入観を持たないよう、私からの曲に対するコメントはできるだけ控え、レベルに関係なく気に入った曲を選んでもらいました。zoom上ではありますが、生徒たちは真剣に聴いてくれ、その表情に昨年とは違う成長を感じられ、感動的な時間となりました。C級以上は曲が長くなりますので個別の方が良いかもしれませんが、B級くらいまででしたら、全部を通して演奏しても長時間になりませんので、こういった形の『皆で集う選曲会』も行いやすいのではないでしょうか。先生方ご自身にとっても、ご自分で課題曲を弾いていく過程は、レベルや各生徒に合う曲を、頭の中で考えたりイメージしながら 楽譜を読み解いていく機会 にもなると思います。
- 2022年3月10日実施のコンペオンライン交流会 笹山美由紀先生のお話よりレポート