ピティナ・ピアノコンペティション

X
instagram
youtube

コンペ指導のヒント-課題曲でテクニックを磨く秘訣

コンペ指導のヒント
第1回:課題曲でテクニックを磨く秘訣

■ ゲスト:黒田亜樹先生

2022年度コンペオンライン交流会での、ゲスト講師のお話から、コンペ指導のヒントをご紹介します。


コンペ期間中は課題曲を仕上げる(磨き上げる)ことに時間を使い、普段の教材が進みづらいという問題をよく耳にします。ずっと同じ曲=何週間も○がもらえないことが生徒さん、保護者の方にとってストレスになっている可能性もあります。
曲が○になることばかりが善ではなく、コンペへのチャレンジを通じて力が付くことが重要です。
コンペ課題曲に取り組みながら力を付ける方法をいくつかご紹介いたします。

課題曲の苦手なところにフィットするエクササイズを取り入れながら、ひと夏のコンペ参加を通じて、生徒さんの力を付けてあげることができれば良いですね。

課題曲で力を付ける方法

①過去の教本の活用

一度やった練習曲を復習し、譜読みの負担を軽減させ、なおかつ完成度を高め、上達した実感を与えてあげる(例:ツェルニー30番を3回やるなど)

②コンペ曲と結び付けて教材を進める

お勧め教材=バルトーク:ミクロコスモス

  • 大人が弾いても素晴らしい楽曲
  • 初見でも弾ける曲
  • 声部、旋法、調性の勉強に繋がる
  • バロック期の民謡の引用もあるのでバロック期の曲のウォーミングアップに最適
♪A2級課題曲 風のカノン(2声)
ミクロコスモスよりユニゾンの曲(初見でも弾ける)をレッスンに取り入れると耳が開いているから2声をいい音で弾こうという素地ができる
ミクロコスモス「問いかけと答え」も同様に初見でも弾ける曲。この曲を取り入れることで左右の手の交代の訓練になる。
♪B級課題曲 ローリー/小フーガ
ミクロコスモス「問いかけと答え」「10番」も同様に初見でも弾ける曲。この曲を取り入れることで左右の手の交代の良い訓練になる。

③スケールの練習を効果的に取り入れる

  • 音階の練習はユニゾン、三度、六度そして反進行も加えると音程感覚、ブラインドタッチ、音を聴く力のの習得に効果がある
    三度の音程感に耳が慣れていると、曲中で三度が出てきても、耳と指で調和する響きをすぐに作ることができる
  • 更に和声的短音階 旋律的短音階の反進行の早期取り入れで鍵盤のぼこぼこ(黒鍵白鍵)が分かりやすく身に付く
  • 半音階の練習は鍵盤のいちばん端から端まで鍵盤のコンディションを知ることに繋がる
    <例> C級課題曲 ハチャトゥリアン/エチュードも半音階に慣れていたらpでスタッカートで外さずに弾ける

  • 2022年3月5日実施のコンペオンライン交流会 黒田亜樹先生のお話よりレポート

黒田亜樹先生eラーニング 「クロアキ流-課題曲の練習方法- 2022」好評配信中!

黒田亜樹先生
東京藝術大学卒業。フランス音楽コンクール優勝。
スペイン・ジローナ20世紀音楽コンクール特別賞。現代音楽演奏コンクール優勝。朝日現代音楽賞受賞。イタリア・ペスカーラ音楽院教授。Tokyo-Milanoチャオステーション代表。