ピティナ・ピアノコンペティション

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コンペインタビュー:参加者編4~塩﨑基央さん(2020G級ベスト賞)

コンペ参加者インタビュー
2020年度ピティナ・ピアノコンペティション、全国大会G級ベスト賞
塩﨑 基央さん
6歳よりピアノ、13歳より作曲理論を学ぶ。
YouTubeチャンネル「なで肩のモD/Modi's piano」で活動中。チャンネル登録者数は1.8万人(2022年3月時点)
顔写真

「コンクールへ向き合うとは何だろう、目的は何だろう」もちろん、コンクールにはピアノ演奏に対する「教養を測る」という側面があるだろうことは前提としています。しかし今回はこのG 級に参加して、あくまで参加する側から見たコンクールへの向き合い方と目的について振り返ってみました。

例えば、コンクールを「旅」に置き換えたとします。目的地まで最速で到着し、そのまま最短距離で帰る「目的地に到着さえすればよい、途中はただの経過だと考える」これは本当に旅の楽しみを味わったと言えるのでしょうか。家から一歩出た瞬間、それはすでに旅であり、向かう途中も全ての瞬間が旅であるはずです。そうしたら、何らかの事情で目的地にたどり着けなかったとしても「旅」をしなかったことにはなりません。人生をそのように捉える考えのことを、エネルゲイア的(現実活動態的)というそうです。

「今、この瞬間に強いスポットライトを当てる」そうすることで、過去の出来事と未来への不確信は消え去ります。そうしてそれぞれが、自分自身の一歩を踏み出し常に前進している、そう思うとき、コンクールの結果=自分の価値とは思わないのです。

全国大会で拝聴した皆様の演奏は、どれもが輝きを放っていると感じました。そのとき僕は、毎日のように真剣にピアノに向かう全ての方々が、同士であり仲間だと感じました。

コンクールを実現させるために力を尽くしてくださった運営スタッフの方々、日頃より教えて下さる先生方、審査員の先生方、そして同士、全ての方々へ感謝の気持ちが湧き上がってきました!そして僕達が毎日ピアノに向かうことで、いつか巡り巡ってどこかで誰かの役にほんの少しでも立てるかもしれない、そんな希望をもてること、そして旅をした時と同じ、この瞬間に感じた感動にこそ「真の価値」が存在するのだと僕は実感しました。

ピティナ会報(OUR MUSIC)第354号(2020秋号)より一部改変のうえ転載