<赤×黒デュオ>に聴く!遠隔アンサンブルの極意
6月に入り少しずつ自粛要請が解除されてきましたが、まだ気軽にデュオの相手の家に練習に行く、デュオのレッスンを頻繁にする、という日常はもう少し先かもしれません。
そこで今回は、5月に開催された「丸の内ミュージックフェスティバル」にて見事な遠隔アンサンブルを披露された、赤松林太郎先生、黒田亜樹先生に、遠隔アンサンブルをする際の動画撮影のポイント、練習方法、デュオの魅力についてお話しいただきました。
課題曲チャレンジのデュオ部門にご参加の方、また遠隔アンサンブルに挑戦してみようかなと思われた皆様、ぜひ参考とされてください。
「丸の内ミュージックフェスティバル」での遠隔デュオでは、黒田亜樹先生から受け取った動画に合わせて、赤松先生が演奏されたと伺いました。デュオのパートナーから届いた動画を聴くとき、どのような点に注意を向けて、演奏を聴きましたか?
まずは相手のフレーズ(旋律)の描き方をとらえたいと思っています。
演奏を聴きながら、空中で旋律線を曲線を指で描いてみると、音量やテンポの揺れがつかみやすいです。
つまり指揮者になってみるということです。
相手が良い弾き手であるほど、発音(タッチの瞬間)の仕方が多彩で言語的なので、耳を澄ませて聴くこと。
自分がテンポを引っ張るべきところと、相手のテンポについていくべきところとをよく考えること。
それではデュオの曲を1人で練習をしてみる際には、どのようなことを考えて演奏されるといいでしょう。
ソロよりも抑揚の作り方に大胆さが求められることが多く、旋律を担当する時よりも、対旋律や伴奏に回る時ほど柔軟に対応しなければなりません。
そのためにテンポやデュナーミクだけでなく、急なアゴーギクにも寄り添えるように、練習しながらイメージトレーニングすることが、今後室内楽を続ける上でも良い経験になるでしょう。
黒田先生とは離れていても、素晴らしいアンサンブルをご披露されました。赤松先生にとっての2台ピアノ、デュオの魅力とはなんでしょうか。
異化作用です。これは2台ピアノに限らず、室内楽全般に言えるのではないかなと思います。
最後に、課題曲チャレンジに挑戦してみよう、と思われているピアノ学習者へのメッセージをお願いいたします。
緊張が強いられるステージでの演奏とは違って、満足がいくまで何度もやり直してレコーディングできるのがオンライン提出の醍醐味です。何度も自分の演奏を確認することで、客観的な耳(第三の耳)が育ってきます。
それぞれにこだわるポイントがあると思いますので、納得できるまで追求して、良い作品を提出してください。
ありがとうございました!
「丸の内ミュージックフェスティバル」での遠隔デュオは、黒田亜樹先生が先に動画を撮影したと伺いました。デュオのパートナーに聴いて、あわせてもらうための演奏動画、どのようなところに注意を向けて、演奏・撮影されましたでしょうか。
私は室内楽を良く演奏するのですが、5重奏、7重奏など大編成のアンサンブルの時も相手のパートも自分のパートもどちらも総譜をみて頭の中で音を鳴らして、全体の音を想像しながら譜読みをして初回の練習を迎えます。
(これをスコアリーディングと言います。将来スコアリーディングが出来るようになるためにも連弾はとてもよい経験になると思います。)
メンバーの顔を想像し、ドキドキわくわくしながら譜読みをするのはとても楽しい時間です。赤松氏との遠隔ピアノデュオも、自分のパートを録音しながら口では彼のパートを録音ではきこえないくらいの小さな声で歌いながら弾きました。また彼に自分のパートの録音を送る前に、自分でも自分の録音にあわせてセカンドパートを弾いてみて、これなら合わせてくれるかな、これならきっと大丈夫だろうな、と確認してから送りました。
それでも、お返事の録音が返ってくるまではドキドキでした。
逆に相手の音源を聴き、それに合わせて1人で練習をする際にはどのようなことに気を付けるとよいでしょうか。
アンサンブルではつい発音の瞬間を合わせようとしがちですが、音楽というのは音が出る前の呼吸や、前のフレーズの終わりを共に感じ聴きあっていることで次の頭が自然にあうのだとおもいます。
音やフレーズの頭を合わせることに夢中になりすぎて、流れを見失わないように、たとえ録音であっても相手の呼吸や間、そしてフレーズの流れをいつも以上に感じてみてください。
赤松先生とは離れていても息がぴったりで、素晴らしいアンサンブルをご披露されました。黒田先生にとってのデュオの魅力とはなんでしょうか。
それぞれが一番知り尽くしている専門楽器どうし、楽しくもあり、突き詰めると相当に厳しくもあります。特に向かい合わせで弾く二台ピアノは、相手の楽器のお尻の部分が自分の目前に迫ってくるので自分がソロを弾いているときには絶対に聴けない弦の底鳴りを前方から聴くことになります。目の前に宇宙船があるような錯覚がするほどです。
本番の時にはこれまたものすごく心地よい振動で、オーケストラと同じくらいの音量の幅なので、癖になってしまいますね
最後に、課題曲チャレンジに挑戦してみよう、と思われているピアノ学習者へのメッセージをお願いいたします。
ソーシャルディスタンスを保ちながらの毎日。
大きな声で合唱を楽しむことも控えなければならない毎日。
誰もが行動範囲が狭くなり、体力も衰え、思考も止まりがちでしょう。
そんな時に音楽を通じて思いを通わせ、大切なことを共に考え表現する時間は
かけがえのないものだと思います。
是非連弾チャレンジで想像力と優しさを広げてください!
ありがとうございました!
「コンペ課題曲チャレンジ」では連弾部門のお申し込みを受け付けております。
お互いの演奏を聴き、自分の演奏を高めながら、連弾にチャレンジしてみましょう!