ピティナ・ピアノコンペティション

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第41回コンペ作文コンテスト結果発表!-4-

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト結果発表

2017年度コンペ作文コンテストの入賞作品を、毎週2作品ずつご紹介いたします。
今回は、準特選・入選に選ばれた2作品を全文掲載します。 入賞作品の結果一覧はこちら

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト

作文:準特選
名取 典子
人生初のコンクールは暑かった
名取 典子(神奈川県・一般・グランミューズB2カテゴリーに参加)

齢5X、あと数年で大台。中学でやめて以来のピアノをまた始めたのはコンクールの1年半ほど前。幸い仕事もやめたところで時間はたっぷりある。しかしいざ始めてみると、ピチピチだった中学の頃と違い、記憶力も視力も落ち、指も悲しいほど動かず、長時間弾いていると腰痛も。あの時やめてなかったら...と激しく後悔。それでもずっと続けていたら今ほど強くピアノが好き、弾きたい、と思えていただろうかとも思うのだ。そんな状態だったから、師匠からコンクールに出てみないかと言われたときは、正直冗談だと思った。気が変わったのは、「もうちょっとしたら出たくても無理かも」と思い至ったためだ。若いころと違ってちょっと無理をすれば指や身体を痛めてしまうかもしれない。病気や介護などでピアノどころではなくなるかもしれない。明日のことはわからないのだ。だから今やれることは無謀でもやっておこうと。

無謀ついでに、ソロと連弾のダブルエントリー。ソロ曲で選んだメンデルスゾーンのロンド・カプリチオーソは、大曲、難曲ではない。だからこそ、地味すぎないように、クリアな音で「かわいらしく」ひくことが大事とのこと。師匠はよく、「感じること、そして自分が感じていることを聴き手に伝えること」と言う。私にはこれが一番難しい。もともとの性格もあるが、長いサラリーマン生活でも自分を抑えることを求められてきた。でも音楽はその逆を求められるという。そうでなければ人の心に届かない。この曲は弾いていて本当に楽しい。「妖精が飛び回ってるみたい」という師匠の言葉がヒントになり、弾き初めるとすぐに情景が浮かんできた。湖のほとり、まもなく夜。昼間は隠れていた妖精が、月の光がさすと同時にぴょんぴょんと葉の間から出てきて飛び回る。カバが水からゆっくりと出てきたり、鳥の襲来も。そのたびにくるくると逃げ回る妖精たち。そして最後は夜明けとともに命が消えてしまう。ちょっと悲しいひと晩のカーニバル。なんて勝手に想像しつつ弾いていた。今回、審査員の先生方で、「楽しかった」「いい演奏だった」と書いてくださった方があって、少しは伝えることができたということなら、それはこの選曲のおかげだし、素直に嬉しい。

連弾曲は、モーツァルトの超有名な交響曲。師匠がペアを組んでくださって、人生初の連弾。自分の下手さにもヘコんだし、人と合わせることがこんなにも大変とは思わなかった。指導いただいた師匠の師匠は、アンサンブルは子供のときにこそやるべきとおっしゃるが、そのとおりと実感する。しかし音楽を"二人で"作り上げることはとても楽しかった。

グランミューズは、皆さん上手だった。舞踏会の絵が浮かぶようなワルツや、カッコいいソナタ、波の音など見事な表現に引き込まれる。何より、ピアノ愛がビンビン伝わってくる。音楽の道に進んでいなくてもピアノを愛し続けている大人がこんなにたくさんいると知って、それは驚きでもあり嬉しかった。 コンクールという場ではあるが、競う相手というより同好会の友人のような。何人かの方とは実際に言葉を交わすことができた。

終わってみれば、とにかく暑かったという印象。終わったときは正直ほっとした。夏の2ヶ月、炎天下、荷物を持っての移動だけでもこの歳だと結構こたえる。同時にやりきった達成感も。今回、一つの曲を徹底的に突き詰めることを通して、できなかったことができるようになる楽しさ、「感じる」ことやそれを「伝える」ことの意味を学び、同じようにピアノを愛する方たちとの出会い、強烈な緊張との戦いといった貴重な経験をした。こうした機会をくださり指導してくださった師匠、師匠の師匠、そしてPTNA運営者の皆様に本当に感謝しております。体力が続く限り、また参加できたらと思う今日この頃です。

作文:入選
伊藤 帆香
42のおはなし
伊藤 帆香(神奈川県・幼長・A2級に参加)

おとうおさんとおかあさんと、さんにんで、「ほのちゃんに、あうすうじはなに?」
となはしていたら、「42」だとおもいました。

4は「しぬ」の「し」だけど、「しあわせ」の「し」にもなるし、2は、みんながいちいの1を、めざしてすきになるはずだから、ほのちゃんは、みんながいやがる2を、すきになろうとおもいました。
だって2は「にこにこ」の「に」だからです。

さいしょのときは、42をこころにきめていなかったけど、できているきもちがありました。

でも、とちゅう2ほんめのよせんで、できるかな?できるかな?とおもってふあんが、おおきくなりました。

あたまのなかのカギがしまって、こころのほのちゃんが、カギをとろうとしたけど、「ヤダ」というので、あけられませんでした。

おおきいトロフィーがほしいなー。

ぶたいで、なまえがよばれたいなー。

どうしたらできるだろう?とかんがえているとなみだがでてきました。 あたまとこころに「なみだストップ」とこえをかけました。 それでも、とまらないときは、やるしかないとおもいました。

ほんとうは、トロフィーはおまけなんだけど、やっぱりがんばったからもらえるトロフィーがすてきだなとおもいました。

だから1ぽんめのほんせんで、なまえがよばれなかったとき、ほかのおともだちのトロフィーをみて「いいな」とおもいました。

よせんのときは、はんせいしなかったけど、1ぽんめのほんせんのときは、あたまとこころがちょっとはんせいしました。

さいごの、2ほんめのほんせんでは、42を、こころとあたまにきめて、がんばろうってきもちになりました。 だから、2ほんめのほんせんでは、まちがえずにできました。

コンペがおわったとき、「あ~~~」ときもちよくなったけど、また42に、にあうほのちゃんになれるように、がんばろうとおもいました。