ピティナ・ピアノコンペティション

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第41回コンペ作文コンテスト結果発表!-3-

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト結果発表

2017年度コンペ作文コンテストの入賞作品を、毎週2作品ずつご紹介いたします。
今回は、準特選に選ばれた2作品を全文掲載します。 入賞作品の結果一覧はこちら

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト

作文:準特選
藤井 一加
ピアノのかみさまへ
藤井 一加(京都府・幼長・A2級に参加)

「ピアノのかみさま、ピアノのかみさま、どうかステップのときみたいになりませんように。」

ぶたいそでで、わたしは、どきどきしていました。コンペのリハーサルででたステップで、わたしは、あたまがまっしろになって、だいしっぱいしました。それをおもいだしてすごくふあんでした。でも、こんどはせんせいがいっしょにいてくれたから、「だいじょうぶ!いける!」とおもって、ステージでは、きょくのことだけをかんがえてひきました。こんどは、ちゃんとひけました。ぶたいそでにもどって、せんせいのえがおをみたら、ほっとしました。またしっぱいするかもしれないからこわい、というきもちにまけなくてよかった、とうれしくなりました。

ほんせんのときも、せんせいがいっしょにいてくれました。まえとおなじように、きょくのことだけをかんがえてひこうとおもいました。「かっこう」が、いつもどおりひけて、「たのしくいこう」もいいちょうしでした。あとすこしでおわるところまできたとき、「このままいけたら、なまえをよんでもらえるかも。」とおもいました。きがついたら、まちがっていました。

あとでおかあさんにいうと、おかあさんは、「よくがでたんやね。」といいました。よせんのときは、せんせいもおかあさんも「コンペっていうなまえのはっぴょうかい」といっていたから、わたしは、じょうずにひけたらなまえがはられたりすることをしりませんでした。でも、ほんせんのときには、なまえをはってほしいとおもっていました。それが「よく」だとおかあさんはいいました。

それから、ほんせんのときは、じぶんがピアノをだいすきなことも、せんせいが「ピアノはかちまけじゃない」といっていたこともわすれて、「じょうずにひきたい!ぜったいにまけたくない!」しかかんがえていませんでした。だから、しっぱいしたのかもしれないとおもいます。

なまえをよばれたいきもちをなくして、せんせいがいっていたみたいに「きょくとむきあって、じぶんのえんそうをする」というのは、わたしにはすごくむずかしいし、どうしたらいいかもわかりません。でも、せんせいにそのほうほうをおしえてもらって、つぎのときには、すこしでもそうできるように、れんしゅうしたいです。

ピアノのかみさま、ピアノのかみさま、らいねんのコンペのときは、いつもどおりに、わたしらしくひけるようにがんばります。だから、みていてね!

いちかより

作文:準特選
吉田 祐子
ピアノと子育て
吉田 祐子(岡山県・一般・連弾中級Bに参加)

「おかあさん、落ち着いて、楽しもうね。」

ステージに上がる前、いつも励まされるのは私の方......。

我が家には、男二人、女二人の四人の子どもがいます。今年私は、中学二年生の長男と、連弾中級Bでコンペに参加しました。ほかのきょうだいも全員、ソロや、きょうだい同士での連弾で参加しています。

私と長男との連弾は、今年が三度めになります。私がコンペに参加するようになったのは、子育てのために中断していたピアノ演奏を、再開してみようかと思い始めたからでした。そして、私は子どもたちと過ごすことが大好きで、一緒に何かに真剣に取り組む経験を、共有したいという気持ちが強かったことも大きな理由です。

ペアの相手の長男と、共通の課題を持って一緒に取り組み、悩みながら、くやしさ、つらさ、緊張感、楽しさ、うれしさなど、さまざまな感情を同時に持つことで、日常生活では味わえない、心のつながりができているように思います。また、きょうだい四人と私が、同時に同じ目標に向かってがんばっていることも、お互いの支えになっています。

長男と初めて連弾で参加した年は、私が久々のステージだったこともあって、予選奨励賞で終わってしまいました。次こそは予選通過したい!との思いで参加した昨年は、本選奨励賞。そして今年は、次の目標だった本選優秀賞を、頂くことができました。

少しずつ、前へ進んでいます。

私自身がコンペに参加するようになって、参加者の気持ちがよく分かるようになりました。それは、想像以上の緊張感でした。

普段は、私が子どもたちの心の支えになりたいと心がけていますが、いざステージに出ると、子どもの方が、私よりも強くしなやかな心を持っていると感じます。演奏前の子どものひと言や、連弾の演奏中、私の方を向いて見せてくれる「ニコッ」とした表情に、救われることも少なくないのです。

子どもと、練習のひとつひとつの段階を一緒に経験し、音楽の流れをどう組み立てていくか、音色はどうするのか、何度も話し合いながら試行錯誤を重ねる。......

そうしてやりとげた達成感は、素晴らしい感動です。時には、子どもの意見のほうが鋭く的を射ており、ハッとさせられることもありました。

私の場合、「子育て」のためにピアノを一時中断しましたが、今となっては、子どもたちが生まれる前ひとりでピアノを弾いていた頃とは比べものにならない程、心豊かな経験ができているように思います。

私が子育てをしているつもりでも、子どもから学んでいることは多く、育てられているのは、むしろ私の方かもしれません。

来年は、次男との連弾で参加する予定です。

これからも、家族で仲良く、楽しく、音楽を続けていきたいと思っています。