コンペ課題曲をレッスンする期間、日ごろの教材は、どのようにレッスンに取り入れられていますか?先週、ピアノの先生方にアンケートを行い、回答いただいた、本番に向けての課題曲と教材レッスンの割合の変化や、レッスンに取り入れる工夫やお悩みなどをご紹介いたします。
コンクールの期間中も、課題曲以外の教材を上手く活用されながら、長期的な視点で生徒さんの成長にお役立てください。
アンケート回答結果
コンペ本番1ヶ月前までは、コンペ課題曲以外の教材をレッスンに取り入れていらっしゃる方が、ほとんどのようです。それ以降、本番に近づくにつれて、課題曲の割合を多くされる方が増えていくようです。
課題曲と並行して取り組む教材としては、テクニック教材や、楽典、ソルフェージュを継続される方が多いようです。
コンペ課題曲と並行して教材をレッスンに取り入れたいと思う方は、100%です。中でも「すごく思う」方が80%以上と、「課題曲のみ」のレッスンにならないように、意識されている先生が多いことが分かります。
- 特にA2・A1の生徒に対して、課題曲と同じ調性・入っているテクニックなどを事前または並行して取り組むようにしている。
- 課題曲の完成度を高める為の教材選択
- まず譜読みが容易にできてすぐに◯になる曲である事。課題曲の解釈とテクニック習得に役立つと思われる曲を選択する。また反対に気分転換も兼ねて、簡単だけどみんなが良く知っている曲、ページ数の少し多い曲を弾かせることもある。
- 課題曲で不安なテクニックをチェックし、既に合格した曲から組み合わせて練習メニューを作る。
- バロックは、課題曲がメヌエットなら、プレハノンの他のメヌエットをコンペ中にしてメヌエットを理解してもらう。ツェルニーは古典の課題曲と同じ伴奏形(例 アルベルティ)の曲ばかりに。
- 教本(バイエルやブルグミュラーやその他、その子一曲一曲進んでいっているもの)は、それに代わって、コンペ課題曲を演奏するのに必要なテクニックの入った曲をツェルニーなどから選んで練習してもらうこともある。
- 課題曲を弾くために役に立つようなテクニックの曲を弾かせるようにしたり、教材の中から取り組みやすい曲を負担にならないように選んで並行させたりしている。
- コンペ期間中であっても、テクニックを付けるための教材を使い、基礎力を強化するようにしている。
- コンペ課題曲に必要なテクニックや表現を磨ける曲をいつもの教材から取り上げる など、コンペにもプラスになる課題を選ぶ。
- 課題曲の弾きにくいところと似たようなテクニックの練習。
- スケール・アルペジオは、課題曲の調で取り入れるようにしている。
- コンペ課題曲にも役に立つような、また普段の延長線上でできる教材を選んでいる。
- レッスン時間のはじめの方に、取り入れるようにする。
- 譜読みをする曲は多めに宿題を出す。(レッスン時間に全て見る事は出来ないが、自らバスティンなどは先に先に進める)
- 通常の教材を先にレッスンする。コンペの曲に時間をとりすぎないため。
- 生徒本人が一番練習したと自覚ある曲を自己申告により、レッスンで弾いてもらうようにしている。
- コンペの曲を先にレッスンすると、通常の教材ができなくなりがちなので、先に通常の教材を始めにレッスンしている。
- 短時間でポイントを説明すること。
- なるべくレッスンの最初の方に聴くようにしている。コンペの曲に入ってしまうとどうしても時間配分がうまくできなくなるので。コンスタントにベーシックな練習の大切さを伝えたい。
- コンペが行われていない時期に基礎力の強化に努めた結果、課題曲の練習が始まっても教本を止めることなくレッスンが出来ている。
- 曲数は普段の6割から8割に減らした生徒もいる。
- スタッカートの種類、フレーズ、身体のあった弾き方かどうか、倍音の響きになっているかどうかを確認している。
- ハノン、スケールの基本的なテクニックはどんな時も、ピアノ演奏を続けるにあたって必要な基礎練習だということを、何度も子供たちや保護者の方にお話しし、毎日取り組んでもらうことにしている。
- 教材については、できなくても、怒らない。
- 練習してきたら、やる気シールをコンペの時期にだけ、教材にはる。
- できるだけ教材の進度が止まらないように心がけています
- 何年か前はコンペの曲だけレッスンしていたが最近は通常の教材も並行している。通常の教材を練習することにより、子どもたちも保護者もコンペの練習が、煮詰まらずに練習できるようだ。
- 生徒によっては教材の仕上がりに影響が出る場合がある
- 教材が停滞する
- テキストをどのように減らすか
- 課題曲とともに教材のレッスンは続けますが、生徒さんそれぞれによりこなせる力量も異なりますので、何よりもその様子を見つつ、相談しつつ、苦しくならないようしんどくならないような工夫をしようと心がけているが、コンペを主にすると8月最初の発表会での曲の選曲に悩む時がある。
- 生徒によっては、全く教材が進まないことがある。
- 教材の進度が止まってしまうことを生徒が気にして、課題曲より教材の曲ばかり練習してくる生徒がいる。
- 譜読みが終わると子供たち的には楽になるようだが、それからが時間をかけて欲しいところなので、曲数が多いと大変。
- まず予選の2曲にウエイトをおいてやっていますが、そうすると折角4期の勉強が出来る機会なのに勿体無いなと思いつつ、現実時間もないので仕方ないです。(他の教材をやる時間はありません)
- コンペの曲に傾き過ぎてしまい、テクニック教材で学ぶことのできる基礎力が低下しがち。
- どうしても生徒側で取り組みが浅くなる。
- レッスン時間が少ない子(一週間に一度、30分など)は、他の教材と一緒にレッスンすると、内容が薄くなってしまう。
- 参加者の個人差にもより、課題曲で精一杯の子もいる。
- 課題曲から練習したいようで、教材の練習時間が少なくなってしまう。長期間、完全に課題曲のみは避けたいが、気持ちもわかるので悩む。
- レッスン時間が足りない。
- 年齢の小さな生徒さんは、自宅での練習配分がなかなかうまく行かないことが多い。
- 自宅練習でテキストを練習してきたとしてもレッスン時間が足りなくて見てあげれない。
- できればレッスンを週二回や、レッスン時間を増やしてでも教材を並行したいくらいだが、現実的には難しい。趣味程度のピアノでは物理的に時間が足りないと痛感する。
- その年の結果を出すには課題曲に集中する方が良いが、長期的に見ると実力がつかないので、バランスが難しい。コンペに出ないで教材に集中する年を設ける事もある。生徒や保護者にはコンクールのマイナス面も理解してもらうのが大事と思う。
- 生徒は課題曲を中心にやりたいので、コンペ課題曲以外の曲に対し家での練習が手薄になっている。教材の大切さがなかなか伝わりにくい。
ピアノ指導者が答える!お悩みQ&A
コンペ期間中のレッスンでは、私の場合、コンペ課題曲を上手に、求められる音色で弾くために役立つテクニック教材だけを残して、課題曲に取り組むようにしています。基礎的なテクニック練習は大切にしていて、スケールとアルペッジョはコンペ期間中でも弾くようにしてる場合が多いですね。
教本選びのポイントは、生徒のレベルや読譜力にもよりますが、課題曲の練習に時間とエネルギーを取られるので、譜読みが大変でないもの、あまり曲が長くないもの、を与えるようにしています。選んだ教材は、出来るだけ具体的な言葉で、課題曲のどの部分をどのように弾くために、この課題をこのように練習しようね〜というようにアドバイスするように心がけています。
世の中にたくさんある教本の中から、生徒にあった内容のものを、適切なタイミングで使うためには、次の5つのポイントが大切です。
「教本について知っておきたいこと」
教本ごとに、このポイントを整理しておくと、コンペ時期の限られた時間の中で、どの教本をどのように使うか、生徒一人ひとりに合ったレッスンに活かせるのではないかと思います。
特に小さい年齢の生徒の場合、読譜力を確実に付けていくためにも、指作りのためにも、絶えず新しい複数の曲に取り組むということはとても大切なことです。ですから、お悩みにもありますように「コンペの数か月が、課題曲だけのレッスンになってしまう」と言うことは、できるだけ避けなければいけないことだと思います。
そのことを指導者が十分認識したうえで、それぞれの生徒のレッスンに、コンペの曲をどう取り入れていくか、最初にプランを練っていくことが大切だと思います。それぞれの生徒の能力、それまでのテキストの進み具合も配慮したうえで、どのようなバランスで進めていくか・・・
テキストの進度を少し落としながら課題曲を加えていく、または3月は課題曲中心、4~5月はテキスト+課題曲、6月に入ってまた課題曲中心に・・・という方法も有りかと思います。
大事なことは、生徒と保護者の方に、なぜバランスを取りながら進めていくことが大切なのかについて、理解しておいていただくことだと思います。今回のコンペで良い評価を頂くことも大事だけれど、もっと先、D級、E級になっても挑戦できる力を積み上げておくことも大切、と言うことを最初に伝えておくことです。B級くらいまでは良い評価が頂けても、読譜力が伴っていないために、その後挑戦することすらできなくなってしまう、と言うことが実際にあるからです。
そしてその強い意志をきちんと行動に示す・・・私はいつもレッスンでは、本番の直前にならない限りは、レッスンは課題曲から始めないようにしています。普段の課題がきちんとできているか、それを確認してからコンペ課題曲のレッスンです。家での練習も、その流れで行うように伝えています。先生が、目先の結果だけにとらわれず、生徒の将来のことをきちんと考えている、その姿勢を見せていくことは大事なことだと思います。
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