ピティナ・ピアノコンペティション

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コンペ結果特集号発行~継続参加で見える景色~

コンペ結果特集号発行~継続参加で見える景色~

今年もコンペ結果特集号発行の時期となりました。コンペに参加された皆さんは、ひと夏を終えた充実感とともに、来年に向けて様々な思いをあたためていらっしゃることと思います。継続して参加することで、どんな景色が見えるのか、参加者、指導者の方の声をご紹介します。

インタビュー

参加者インタビュー

理解力が深まった中学生だからこそ出来ること
木村 響さん(奈良県/平城中学校1年) D級本選奨励賞受賞・A1級から毎年継続参加

3月に課題曲発表がありましたが、3月は卒業式や、小学校で所属していた公式ドッジボールの卒団式の準備や3月最後の試合などが土日に目白押し、またピアノはステップにも参加していたので3月は考える間もなく、4月に改めて課題曲をしっかり見た感じでした。中学に入ると勉強が忙しく、両立できるか不安で、まだこの時点でもコンペに出るかは迷っていました。6歳上の姉が高3までコンペに出ていたことと、高校生の同教室の生徒さん(男子)と先生と話す機会があり、賞を取りたいから出る!という話を聞いて「自分も出る!」とレッスンの帰りに決めました。

長い時間の練習は無理なので練習するポイントを絞り、曲についての理解を深めるためにアナリーゼにも重点をおきました。
チマローザは、初めて演奏する作曲家でしたので、いつ頃、どんな一生を過ごし、どの国で生きてどんな曲を作ったのかを調べました。最終的に予選では、チマローザがイタリアの作曲家と言うことが、仕上げのポイントになりました。明るく、陽気、でもバロックなのでチェンバロの音も意識して、チェンバロの動画も参考にしました。そのあとに、ハイドン(古典派)について生きていた時代を調べると、チマローザとかぶる時期があり、まだ、バロックも残っている時代であることがわかり、これは本選でハイドンを弾く上でのタッチのヒントになりました。
音楽記号なども、作曲家のメッセージなので、コンペの期間を通じて、レッスンの前に自分で意味を調べる習慣をつけることで、先生のレッスンを効率よく受けることが出来たのではないかと思います。
でも、気をつけたのは、あまりにも細かく調べすぎないことでした。先生から先生の言葉で教えてもらって、その場で聞いて考えて覚えることも大事な部分があるのと、調べることが目当てではなかったので、そこから想像して弾く感性の部分は必要ではないかと思ったからです。

練習以外で苦労したところは、予選を受ける時期と、本選日との兼ね合いです。中間、期末テスト、クラブの試合の期間を外しながら、出たい本選の該当予選を決めることが大変で、ゴールデンウイーク中、色々考えて、その後 テストの日程がはっきりわかってから、ようやく参加日程を決めることができました。

中学生になってから、D級への参加を考えた時、C級と比べて一気に曲の難易度があがることと、D級からは本当にピアノが好きな人、音楽高校をめざして専門的に続けたいと考える上手な人が沢山いると思ったこと、勉強(塾)・クラブとうまく両立して練習が本番までに間に合うかということが不安で、予選は通過できないかもしれないと思っていました。しかし、結果的に予選を2箇所通過できて、2回目の予選は特別賞をもらえたことで、自信に繋がりました。最後まで自分を信じてと応援してくださった二本柳奈津子先生、フィンガートレーニングを教えてくださり本選にも応援に来てくださった柴田牧先生、ありがとうございました!いつも、両立していることを誉めてくださるので、クラブもピアノも頑張りたいと思うことができ、心強かったです。

限られた時間での練習は、理解力が深まった中学生だからできたことだと思います。先生の注意の意味がわかりやすくなり、曲の中の繋がりが小学生の時よりも明確に理解できるようになりました。中学生になってコンペに参加することで、曲を深い部分で理解して弾くことを経験できたと思います。新たなスタートラインに立った気持ちで、今できることを精一杯頑張って、ピアノと向き合っていけたらと思っています。

コンペに参加された方の思いやエピソードを綴る連載「My Competition」がスタートします!

指導者インタビュー

コンペ初指導から継続2年で通過率アップ ~「もう少し上を目指したい!」というモチベーションが生まれる場所
治田雅恵先生(千葉県大網白里市・指導会員)

2年ほど前、やる気があって、よく弾ける生徒には、単に「習い事としてのピアノ」以上に、目標となるものに挑戦させたかったので、コンクールに生徒を出し始めました。たくさんのコンクールがあり、最初は各コンクールのレベルも良く分からなかったので、自分の師匠である鈴木直美先生にアドバイスをいただき、課題曲のレベルなど鑑みて、取り組みやすいコンクールからチャレンジしました。ブルグミュラーコンクール等を経て、昨年からピティナのコンペにも挑戦するようになりました。

コンクールのレッスンは、基本的には、生徒が弾く課題曲を全部自分で弾けるようにして、まずは、鈴木先生のレッスンを自分が受けて、ポイントを理解しています。生徒によっては、鈴木先生のホールレッスンに参加させてもらい、鈴木先生から直接指導いただくこともあります。
コンクールは結果が出ますので、良い結果のことばかりではありません。生徒が予選通過できなかった時に、次のレッスンでどうフォローしようかなと考えていると、すでに保護者の方がお子さんの気持ちをフォローしてくださっていることが多く、「いい機会だったね」と、次に向けて前向きな気持ちでレッスンに来て下さり、その姿勢から私の方が学ぶことも多いです。

コンクールは、他のどのステージよりも、課題曲に集中でき、曲の仕上げ精度が高くなるので、コンクール後のレッスンで、その子の中で「基準」が上がるように思います。私から言わなくても、どう弾くか、自分で考えてくるようになったり、譜読みの段階で、精度が高い練習をしてくるようになったりすることが多いです。また、もっと弾きたいという気持ちも高まるのか、幼稚園の生徒でも、自分で1冊弾いて来ることもあります。

コンペに出ている生徒は、数年先まで、コンペを受けたいと思っていて、今、A1級やB級の生徒も、C級の課題曲のページを開いて、「5年生になるまでに、インヴェンション弾けるようになったら、C級出られるよ!そこ目指して頑張ろう!」といった声掛けをして、1,2年先の目標感を持っています。コンペの課題曲が、その年齢で弾ける曲の目標に繋がっているように思います。また、点数が出るので、ちょっとゲーム感覚で、「次は何点目指す!」 と点数を励みにしている子もいますね。
コンクールが終わると、「今度はもう少し上を目指したい!」「次も頑張る!」というモチベーションが高まるようで、すでに今年、コンペに出た生徒は、今の時点で、全員、来年も参加するつもりになっているようです。
私も指導者として、生徒と一緒に少し上を目指しながら、ともに成長していきたいと思っています。

参加者インタビュー

10年越しで叶った 全国決勝大会のステージ
渡辺千帆さん(北海道 札幌北高等学校3年) F級 ベスト17賞

今年はピティナにA1級で挑戦してからちょうど10年目の年でした。ピティナで全国決勝大会に出場することは、予選落ちした一回目の時から、憧れでもあり大きな目標でもありましたが、その目標は遠くなかなか達成されることなくF級まできました。毎年雪がまだ残る春から夏の終わりまで、 ピティナの特徴である、四期の曲を練習することはとても楽しく、目標を持ってコンクールに取り組むことによって「弾くことの楽しさ」を年々実感できることにもなりました。F級は今年で3度目の挑戦、1度目2度目は地区本選で特別賞を頂くも、全国大会へは届かず悔しい思いも経験しました。そして今年、念願の全国行きが決まった時には、長い間私を支えご指導下さった木村真由美先生、練習会や発表会や音楽会で共にがんばってきた教室の友達、教室に携わり応援してきて下さった方々、学校の友達、そして家族、本当にたくさんの方が喜んで下さり、励ましの言葉を下さいました。本当に嬉しかったです。本番当日は全国大会の横断幕を前に、本当にここで弾かせてもらえるのだと、とても幸せな気持ちで、笑顔で弾かせていただくことができました。ピアノが大好きで、木村先生との毎週のレッスンが楽しくてここまで来られました。ピアノを続けて来られて本当に良かったと心から思っています。ここからの半年は今までピアノで培ってきた根気と粘りと集中で、勉強をしっかり頑張ります!そして来年、大学生となってまたピティナに挑戦したいと思っています。たくさんの方への感謝の気持ちを忘れることなくこれからもがんばっていきたいと思います!!

参加者インタビュー

諦めずに挑戦を重ねて夢の特級ファイナルへ
上田実季さん(東京都/東京藝術大学4年) 特級 銀賞

いつの日からか、「夏といえばピティナ!」と意気込んでいる自分がいました。1年に1度、ピティナに参加することで、素晴らしい審査員の先生方のご講評を頂くことができ、ここまでの1年の反省、そしてまた1年後に向けての目標ができる。自分の中でそんなサイクルが出来上がっていたような気がします。私は、小学2年生でA1級からスタート。全国決勝大会を夢みて参加を続けましたが、本選に出場することで精一杯でした。基礎を見直そうと、中学1、2年は参加せず、舞台には出ない夏を過ごしましたが、やっぱり舞台に出たい、聴いてほしい!と思い、また参加を始めました。高校2年生でG級に参加し、初めて全国決勝大会まで進むことができ、ベスト賞を頂きましたが、表彰式のあの舞台には上がれなかった。次は特級に挑戦してみない?と先生から提案があったとき、ついに特級かぁ!とワクワクしたのを覚えています。諦めず挑戦を重ねて、4度目の特級。コンクールで落ちることが怖く、嫌になることも沢山ありました。でも、ピティナに参加すると、周りには素晴らしい方々がいて、みんな音楽が大好きで頑張っていて、自分もまた頑張ろうと思えることが、何よりも自分を成長させてくれることだったかもしれません。今年、特級ファイナルで初めてのコンチェルトを、あのサントリーホールで演奏することができ、諦めずに頑張って良かったと、改めてこれまでお世話になった方々に心から感謝の気持ちで一杯です。そして、素晴らしい機会を与えてくださり、私を大きく成長させて下さった、ピティナの皆様に、深くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

データ

継続参加年数と予選通過率

継続してコンペティションに参加し続けている人ほど予選の通過率が高い傾向にあります。