ピティナ・ピアノコンペティション

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第41回コンペ作文コンテスト結果発表!-7-

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト結果発表

2017年度コンペ作文コンテストの入賞作品を、毎週2作品ずつご紹介いたします。
最終回となる今回は、入選に選ばれた2作品を全文掲載します。 入賞作品の結果一覧はこちら

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト

作文:入選
宮澤 亜純奈
心を込めて、自分の精一杯を
宮澤 亜純奈(栃木県・小学5年生・C級に参加)

たくさんの人から応援してもらえた今年。大きな目標をかかげ、自分の精一杯にチャレンジした今年。友達と泣いて笑って喜んで悔しんだ今年。今年のコンペの思い出は、今までの何よりもすてきな思い出になりました。

コンペに参加して4年目。初めてのC級は3月の始まりから違いました。課題曲のほとんど指がとどかない。5年生としては体も手も小さい私は、ここでC級の大きなかべを目の当たりにしました。しかし曲が決まらなければ始まらないのでとにかく課題曲を全部弾いてみる事にしました。今までのコンペを考えても、みんなは曲も決まり練習を始めていると思うと、曲が決まらない自分にとてもあせり、指も思うようにとどかず、不安で「できない。」と泣いたこともありました。

そんな時、私を支えてくれたのは先生達です。私の手の都合を一緒に考え、家で練習していて悩んだ時は夜遅くても朝早くても相談にのってくれて、たくさんのアイディアやアドバイスをくださいました。そのおかげで、ようやく曲が決まり、予選を受けることができました。

ピアノは一人で弾くけれど、私には一緒にがんばれる友達もいます。同じ教室同じ級なので、ライバルです。でもライバル以上に仲間です。ホール練で会う度に上手になっていくのを見て自分ももっとがんばらなきゃと刺激を受け、おたがいの良い所、悪い所のメモを取り最後に交換するのがあたりまえになりました。演奏の悩みで良い方法があれば教え合い、とにかく一緒に夢を叶えようとがんばりました。

予選通過することもむずかしかった私の演奏が、こうした仲間や先生、家族のおかげで予選、本選共に第1位で通過できるような演奏に変わりました。ただ弾くだけだった曲が、だんだんと自分のものになっていく感覚は、今でも忘れられないです。

全国大会出場が決まってから、私の夏休みはピアノづくしでした。それはとても充実していました。もちろんうまくいかない事だらけでしたが、先生がいつも助けてくれました。

今まで支えてくれた先生、家族、応援してくれた友達に感謝の心を込めてステージに立ちました。表彰式は大好きな仲間と叶わなかった夢を一緒に悔しがり、でもここに来れた事を喜びあいました。

「ピティナで学んだ事は?」そう聞かれると数えきれないほどたくさんあります。でもその中でも私のピアノを育ててくれたのは、やっぱり四期の時代の曲を弾き分けるという事でしょう。元気な曲が得意で、レガートが苦手だった私の指は、いつしかバランスの良い指に変わりました。これはコンペを受けてきたからだと思います。すてきな経験をくれるピアノに出会えて本当に良かったです。

作文:入選
岸川 薫
本気を生み出すコンペへの参加(暗譜の壁を乗り越えて)
岸川 薫(東京都・一般・グランミューズ部門A2カテゴリーに参加)

12年目の参加となった今年のコンペで私はブラームスのソナタ第3番第1楽章にチャレンジしました。還暦も近づいた私にとって大きな建築物のようなこの曲は体力的にも不安がありましたがとても好きな憧れの曲。いつか弾いてみたいという思いがありました。年齢的にその「いつか」はもう来ないかもしれない!今こそやってみようと1年ほど前に練習を始めました。

晩学で聴音が苦手な私にとって一番の壁は暗譜です。自然に任せていると音が移動して聴こえてきてしまうので、暗譜にはひと工夫が必要なのです。数々の失敗を重ねた結果、このあやしい聴音力をカバーするためにたどり着いた暗譜法は、まず五線紙を100枚ほど両面コピー。一曲を部分ごとに区切って番号をふり、最終的にどの部分からでも楽譜を見ないですべてを書けるようにすることでした。題して「いばらの道暗譜コース」です。そして更に頭の中だけでが楽譜や手の動きが目に浮かぶようになればかなり安心。しかしやみくもに丸暗記するのは効率的でないので曲がどのように作られているのかを理解するために昨年はアナリーゼステップへも参加し、分析したものへ添削していただいて理解を深めました。

ところがこの1年の間に声楽の伴奏や他のソロ曲での本番、主催するピアノ教室の発表会と続き、すべてを終えてホッとした5月になってブラームスの暗譜が全くと言って良いほど進んでいないことに愕然としたのです。又、今年はピティナ他、夏のコンクールに生徒6名が参加予定だったのでもう自分のコンペは良いから指導だけに専念したいという気持ちと憧れのブラームスを弾くために「いばらの道」を通ってでもとことんやりたい!という気持ちの間で激しい葛藤がありました。そして、皆が真摯に曲を仕上げてくるあの突き刺さるような清々しく得難い緊張感の中でどうしても弾きたいという気持ちが勝り、それまでの遅れを取り戻すべく楽譜を書いては頭につめ込み、弾く......という日々が続きました。

それでも人前での暗譜演奏はなかなか安定せず、演奏の流れを止めないことを目標に本番に臨み、何とか2回の予選を通過。それ以後、徐々に記憶も鮮明になり8月初旬の2回目の本選では楽譜と心技体が一つになったような感覚を得て、完成度はまだまだでしたがこの時点でできることはすべて出し切れて、悔いなく演奏を終えられたのでとても充実感があり幸せでした。又、この日同じ本選を別のカテゴリーで受けていた生徒と共に奨励賞をいただくことができ、師弟でダブル入賞できたことも今年の良い記念です。

人生後半になってこれほど本気になれるものがあり幸せなことだと改めて思います。

又、これまでお世話になったすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。