ピティナ・ピアノコンペティション

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~ピアノ指導者が答える~ コンペお悩みQ&A その10

~ピアノ指導者が答える~ コンペお悩みQ&A

初めてのコンペティション、初めての級、進学後の勉強との両立、新しい環境や新しいチャレンジに胸躍る一方で、ちょっとした不安や疑問を感じることもあるのではないでしょうか。
このページでは、コンペにチャレンジする皆様からの素朴な疑問に、ベテラン指導者がお答えします。
毎週、少しずつQ&Aを掲載していきますので、ピアノ指導者に聞いてみたい質問も是非お寄せください。

自宅で電子ピアノで練習する生徒がコンペ参加を希望しています。電子ピアノでの練習のせいか、指も弱く、瞬発力が乏しく、演奏に磨きをかけることに苦労しています。本人の意欲はありますが、家庭の都合で電子ピアノしか置けないとのこと。
コンペに出るのは諦めさせるのか、または出るとしたらどのように仕上げさせたらよいのでしょうか。

厚地和之先生にお答えいただきました。

生徒本人が、コンペ参加に意欲を示しているとのこと、本人のモチベーションが高いというのはとても素晴らしいことですね。

家庭での練習環境が電子ピアノであっても、コンペにチャレンジすることは可能です。
「電子ピアノだからできない」という先入観を捨てて、「電子ピアノでも出来る練習」を考えてみてはいかがでしょうか。

例えば、指のトレーニングは、ボールなどの器具を使うと良いでしょう。手のひらより少し大きめのボールを使って、掴む動作で指の筋肉を鍛えることもできますし、机の上でタッチの練習をすることもできます。テレビを見ながらでも構いません。指を動かすという動作は、楽器を使わないところでも十分可能です。

実際に電子ピアノで弾く際には、少し触ると音は出ますが、タッチを深めに、きちんと鍵盤の底まで打鍵することを意識すると、良いと思います。
ただ、電子ピアノで弾く場合には、左右の音量バランスが取りづらいのが難点です。レッスンの際に、具体的に分かりやすく「右:左=9:1」などと、数値で示すと音量のイメージをつかみやすくなるでしょう。

ピアノを演奏する上で何より大切なのは、音楽表現です。
どのようにイメージを膨らませて表現するか、弾く楽器に関わらず、演奏者にとっては、そのイメージの持ち方が大切です。 生のピアノで演奏する際には、いつも音が出ている状態ですが、電子ピアノでは、電源をオフにして弾くと、音を立てないで練習することが出来ます。そうすると、実際の音が聞こえない分、心の耳で音を聞こうとしますので、よりイメージを膨らませやすい、という効果もあると思います。

海外のピアニストは、出張先の練習ピアノとして、好んで電子ピアノを使うケースも多いです。彼らも「表現のイメージ」を持ちながら電子ピアノを弾き、「電子ピアノだからできない」のではなく、電子ピアノで補えることを意識して、効果的に使っています。

是非、電子ピアノを上手に活用されて、豊かな音楽表現を深めてください。

あつじ・かずゆき◎当協会評議員、栃木県支部長、宇都宮マロニエステーション代表、組織委員

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