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コンペ50回記念企画:わたしとコンペ 第2回:長原有佐さん

半世紀にわたり、ステージの上で自らの可能性に挑戦する多くのピアノ学習者とともに歩んできたピティナ・ピアノコンペティション。50回開催の節目に、それぞれの成長の軌跡と舞台に刻まれた数々の物語、そして未来へ続く歩みをたどります。
私は現在、証券会社で営業の仕事に携わっています。私のピアノの歩みは、6歳で個人レッスンを始めた頃から始まりました。
意外に思われるかもしれませんが、私は小さい頃から舞台で緊張したことがほとんどありません。「緊張して出たくない」と思うよりも、「大好きなドレスが着られる!」という喜びの方が勝っていたのかもしれません。
思い出深い、最初に買ってもらったお気に入りの真っ白なドレス特に思い出深いのは、最初に買ってもらった真っ白なドレスです。それがあまりにお気に入りで、ボロボロになっても手放せず、今でも実家に大切に保管してあります。あのドレスに袖を通すと、スイッチが入り、ステージが「いつも通りに弾けばいい楽しい場所」に変わる。その感覚は、今の仕事のベースにもなっている気がします。
小学校に入るとすぐに塾に通い始め、中学受験も経験しました。高学年になると勉強が一段と厳しくなり、練習時間が取れなくなる「壁」にもぶつかりました。でも、私の中に「やめる」という選択肢はありませんでした。
私は、ひとつのことだけを考え続けるのが少し苦手なタイプで、勉強だけ、あるいは音楽だけ、となるよりも、両方のタスクがある方が、うまくバランスを取って生活できる。一見大変そうに見えますが、複数の軸があることが、私にとっての「楽な生き方」だったのだと、大人になった今、改めて感じます。
現在、私は証券会社の営業として、日々多くのお客様のもとを訪ねています。この仕事は、一発勝負の「度胸」と、緻密な「計画性」が求められる世界です。
たとえば、新規のアプローチなど、一般的には躊躇してしまうような場面でも、私は比較的フラットな気持ちで向き合うことができています。一人で舞台に立ち、幼少期から舞台という場所で自分と向き合ってきたピアノでの経験が、今の私の背中をそっと押してくれている気がします。
また、毎月の目標達成に向けたプロセスも、コンペの準備に似ています。「今月の目標を達成するために、今日は何をすべきか」を考えるのは、「本番の日から逆算して、いつまでに譜読みを終えるか」を組み立てるのと全く同じ思考回路です。この「逆算の習慣」が身についていたおかげで、プレッシャーのかかる現場でも、焦らずに一歩ずつ進むことができています。
第46回ピティナ・ピアノコンペティション西日本地区グランミューズ入賞者記念コンサート実は、大学卒業を機に「ピアノはもう一生弾かない」と決めた時期がありました。卒業演奏で憧れだったショパンの協奏曲を弾ききり、社会人になったら仕事に没頭しようと蓋を閉めたのです。
しかし、コロナ禍で生活が一変し、ふとしたきっかけで3年ぶりに楽器に触れました。すると、驚くほどピアノが楽しかった。かつて「言われるがまま」に練習していた頃とは違い、「この曲を深めたい」という自発的な喜びが湧いてきたのです。
最近は、Apple Musicなどで現代曲を聴き漁り、ハチャトゥリアンのようなエネルギッシュな作品に自ら挑むのが楽しみのひとつです。審査員の先生方からも「表現の幅が広がった」と講評をいただくことが増えました。仕事でさまざまな人生経験を積んだ方々と対話し、旅先で美しい景色に触れる。そんなピアノ以外の人生経験が、今の私の「音」を作っているのだと実感しています。
第49回ピティナ・ピアノコンペティション西日本地区グランミューズ入賞者記念コンサートコンペティションの結果に一喜一憂し、落ち込むこともあるかもしれません。でも、そこで培われる切り替えの早さや、一つのことをやり抜く力は、将来どんな仕事に就いてもあなたを支えてくれるはずです。
ピアノ以外の経験をたくさん積んでください。それがいつか、あなたの音楽に厚みを与え、人生を豊かにする最高のスパイスになります。大人になってから出会う音楽は、もっと自由で、もっと深い喜びを教えてくれるのではないかと思います。
ピティナ岡山支部2025年度入賞者記念コンサート
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