Pre特級マスタークラス 開催レポート(6/28-29)
開催レポート
2025年6月28日(土)29日(日)
会場協力:桐朋学園大学(調布キャンパス)
講師 | ヘンリ・シーグフリードソン先生(通訳:千田直子先生)、キハラ良尚先生、飯田有抄先生 |
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伴奏&講師 | 金子淳先生(2010特級銅賞)、鶴澤奏先生(2012特級銅賞)、山口真広先生(2010特級入選) |
受講生 | 石山 和暉、今井 奏絵、上野 真由香、大木 健助、大倉 佳世、加藤 里奈、木村 日向、鈴木 藍、諏訪 優介、玉置 渚、富永 和夏、中野 妃奈子、西股 愛咲美、峯尾 さくら、宮本 真璃、山内 湊太郎、山﨑 里奈、米田 彩乃(五十音順,敬称略) |
6月28日(土)29日(日)、今年が2回目となる「Pre特級マスタークラス」が、桐朋学園大学の会場協力を得て開催され、受講任意ながら、Pre特級二次予選進出者18名全員が参加しました。三次予選、そして今後ピアニストになるための学習に欠かせない位置づけとなるコンチェルトの学習と、自分と音楽の関係を見つめ直す自己表現のワークショップ、2日間、ぎっしりの予定の中で、18名の受講生は互いに刺激を受け合いながら、充実した時間を過ごしました。
1日目
コンチェルトリハーサル&アドバイス、特級入賞者トークセッション
1日目は、まず特級入賞者としてこの企画の公式伴奏者を務める金子淳先生・鶴澤奏先生・山口真広先生との合わせからスタートです。たっぷり時間を取り、単に合わせるだけでなく、先生方からのアドバイスも受けながら、「コンチェルトを弾く」ということの楽しさを存分に体験していきます。桐朋学園大学の素晴らしい設備の中で、練習環境も十分に用意されていますが、一方で、お互いに聴講も可能で、興味のある曲・次に弾いてみたい曲を探しながら、3つの教室をまわる受講生も見られました。お昼には、初めての全員集合。音楽を志す先輩でもあり、特級入賞者でもあり、コンクール、大学生活、留学といった音楽を学ぶプロセスを歩んできた経験者でもある3人の先生方から、貴重な体験談をたくさん伺いました。少しずつ打ち解け、互いの音楽性を感じ取って、1日目が終わりました。
2日目
オープニングセッション
2日目は指揮者やワークショップの講師も集合し、改めて「オープニングセッション」。福田成康ピティナ専務理事から、特級を目指す「Pre特級」の位置づけと、その両翼をなす「コンチェルト」と「自己表現」が特級への階段をのぼっていく際にいかに重要かが説明され、再度このマスタークラスの目的・目標を確認して、2日目がスタートしました。
指揮者によるコンチェルトレッスン
ヘンリ・シーグフリードソン先生
指揮者としてピアノコンチェルトを知り尽くした講師が、実際にピアノ伴奏のコンチェルトを指揮しながらレッスンするマスタークラス。1つめの教室では、ピティナではすっかりおなじみのピアニスト、ヘンリ・シーグフリードソン先生(フォルクヴァング芸術大学教授)によるレッスンです。シーグフリードソン先生は国際コンクールで優勝・入賞し豊富なピアノコンチェルト演奏経験を持つ一方で、指揮者としてもコンチェルトを多く演奏し、まさにこの企画にぴったりの講師です。実際、チャイコフスキーやラフマニノフといった大曲でどのようにプロのオーケストラの音量と対峙し、自らの個性を発揮していくかについて、考え方・意識の持ち方から、具体的なピアノ奏法に至るまで短時間で次々と素晴らしいアドバイスがおくられ、会場全体に響く音を皆で確認しながら、「大ホールに響き渡るピアノコンチェルト」を創り上げていく実践的なレッスンが繰り広げられました。
キハラ良尚先生
昨年に続いての講師となるキハラ良尚先生。やはりご自身がピアノ出身でピアニストのことも知り尽くしていますが、一方で、作曲やオペラ・合唱の指揮経験も豊富なキハラ先生は、常にオーケストラと一緒に「ハーモニー」を奏でることを重視し、その作曲家ごとの特徴的な和声やリズムの動きに乗ることで、自然とその作品の魅力に寄り添った演奏ができることを示してくださいます。作曲家が見ていた景色を、オペラやオーケストラの作品も例に出しながら分かりやすく提示し、受講生たちの演奏もどんどん色彩豊かなものに変わっていきました。
飯田有抄先生によるワークショップ
昨年の第1回でも大好評で、受講生どうしが打ち解けてマスタークラスの温かい雰囲気を作る原動力となった、飯田有抄先生(クラシック音楽ファシリテーター)によるワークショップを今年も開講。実際にプロの演奏家をたくさんインタビューしてきた飯田先生が、受講生全員を特別インタビュー。先生の巧みなコミュニケ-ション術に導かれながら、自分の活動や考えを実際の言葉にしていくなかで、自分と音楽とのかかわりが顕わになっていきます。また、受講生どうしが互いの意見や考えを交わしながら、同じ思いや悩みに共感したり、新たな考え方を知ったりと、「コンクール」を超えた音楽家どうしの繋がりが紡がれていきました。
クロージングセッション
1日、長時間のレッスンをこなした受講生たちが、最後にひとつの部屋に集まり、今日の学びを総括しました。終了後も、指揮者の先生方に質問したり、伴奏者の先生方からアドバイスをもらったり、記念写真を撮り合ったりと、名残惜しい雰囲気を残しながら、今年も充実の「Pre特級マスタークラス」が終了しました。18人が全力で学んだ夏を表現するPre特級の二次予選は、7月28日(月)、特級と同じJ:COM浦安音楽ホールで行われます。