ピティナ・ピアノコンペティション

開催レポート:グランミューズ座談会2025

開催レポート:グランミューズ座談会
2つのことに打ち込む~一度きりの人生をダブルで~
グランミューズ座談会メインビジュアル

開催概要

2025年4月27日(日)の夜、ピティナ・ピアノコンペティションのグランミューズ部門に焦点を当てたオンライン座談会が開催されました。グランミューズ部門は、年齢や音楽学習歴に応じて参加できるカテゴリー分けがされており、生涯にわたってピアノ学習を続けるピアノ愛好家の皆さんの目標の場となっています。2024年度は過去最高の1658組が参加するなど、年々多くの注目を集めています。

今回は、普段の仕事を持ちながらも趣味のレベルを超えてピアノに打ち込んでいる4名のパネリストをお招きし、「2つのことに打ち込む一度きりの人生をダブルで」と題して、ピアノとの関わりについて語り合っていただきました。ファシリテーターは、過去の座談会でも進行役を務められたグランミューズ会員の浅田陽子さんが担当されました。

登壇者

岩橋 佑弥 (ピアノメーカー)
氏家 貴子 (国家公務員)
篠原 英樹 (幹部警察官/国家公務員)
吉玉 彩子 (ピアノ調律師)

コンペティションに参加する動機

  • 人前で演奏する機会を求めるため。
  • ピアノが上手くなりたいという思い、特に子供の頃にコンクール参加後に上達を実感した経験から。
  • 客観的に自身の演奏レベルを知るため。
  • ピアノ仲間を増やし、繋がりを深めるため。演奏仲間との交流がミニコンサート開催に繋がった事例も紹介されました。
  • 自分の演奏を高めたい、練習するようになるから。

練習時間の捻出

  • 平日夜は難しく、休日や昼休み(職場にピアノがある場合)を利用。
  • 子育てとの両立が困難で、子供が塾に行っている間などに集中して練習。
  • 平日は短時間でも良いから「とにかくちょっとでも触る」ことを心がける。弾けないフレーズだけでも練習するなど、隙間時間を活用。
  • (平日は夜は難しいので朝の20分程度はできる限り毎日練習する一方、)土日はまとまった時間が取れることもあるが疲労や他の活動、仕事などで難しいことも多いので、少ない時間で効率よく練習することを目指す。

仕事とピアノの関係性

  • 岩橋さん:ピアノ開発者にとっては、仕事も趣味もピアノであり「切っても切り離せない」存在。仕事での経験が演奏にも活かされる。ピアノを弾く瞬間の振動や感覚が好き。
  • 吉玉さん:調律師にとっては、趣味と仕事は意識的に切り離している。仕事ではお客様のために、趣味では自己満足のためにピアノと向き合う。ただし、自宅のピアノでは演奏者と調律師の両方の立場で向き合い、調整を通じて演奏しやすい状態にできた経験がプラスになった。
  • 氏家さん:仕事とピアノは「両輪」。それぞれを頑張ることが、もう一方の充実にも繋がる。
  • 篠原さん:警察の中で一定の責任ある仕事をさせてもらっている以上は、仕事が第一でピアノは「趣味」と位置づけている。しかし、趣味であっても真剣に取り組むことが大人の趣味であり、突き抜けようと努力することを楽しむ。ピアノ仲間との出会いが人生に大きな影響を与え、仕事で苦しい時期にもピアノに救われた経験がある。

将来の目標

  • ピアノについてもっと深く知り、仕事でも演奏でもレベルアップすること。将来的には自分で設計したピアノでホール演奏すること。
  • もう一度グランミューズ全国大会で演奏すること。次は楽しむ余裕を持ちたい。
  • 体格を言い訳にせず、様々な時代・ジャンルを弾けるようになること。機会があればオーケストラとの共演や海外コンクールにも挑戦したい。
  • 移動の自由が得られるようになったら、海外コンクールやアンサンブル、オーケストラ共演などに挑戦したい。60歳を過ぎてからが本当の勝負。

まとめ

座談会のまとめとして、人生100年時代において、ホールやサロンなどピアノのある場所で仲間と出会えることの素晴らしさ、そして大人のピアノ愛好家が楽しむ姿が、子供たちが生涯にわたりピアノを続けることへの励みとなることなどが語られました。短い時間でしたが、パネリストの皆さんのピアノへの熱い思いや、仕事との両立、ピアノとの特別な関わり方が語られた有意義な時間となりました。