2024特級セミファイナル新曲は室元拓人さんに委嘱しました
8月18日に迫ったセミファイナルを前に、7月30日、三次予選結果発表の夜、いよいよ「新曲」の楽譜が2024年度セミファイナリスト7名の手に渡りました。7人のピアニストたちは、まさに今、まったく手がかりのないところから出会ったばかりの作品に着色しています。毎年のお楽しみ、恒例のセミファイナル新曲課題曲、今年は、2022年度武満徹作曲賞第1位受賞などで今注目の作曲家、室元拓人さんに委嘱させていただきました。
★新曲課題 タイトル
「凍てつく火花 ピアノソロのための」(2024)
演奏時間4分程度
演奏時間4分程度
室元拓人さんより メッセージ
2024特級セミファイナルのために、「凍てつく火花」という作品を作曲いたしました。
7人のファイナリストの皆さんが切磋琢磨をするコンクールという場は、その緊張感と同時に、ピアノという楽器と対峙する輝かしくも孤独な時間であると思います。
本作品では、散りばめられた冷たく硬質な音、瞬間的な爆発と減衰を繰り返しながら前へと進んでゆくさまが表現されています。
若いピアニストの皆さんが、新曲をとおして現代的な技術や楽想に挑戦していただくとともに、あらたな音楽が誕生する瞬間を聴衆の皆様と分かちあえることを、心から楽しみにしております。このような機会をくださったピティナの皆様に感謝申し上げます。
室元拓人
むろもと・たくと●1997年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科、同大学院音楽研究科修士課程作曲専攻修了後、渡欧。ブローニュ=ビヤンクール地方音楽院を経て、グラーツ国立音楽大学にて作曲を学ぶ。2020年《トカラ・イヴォークⅠ》が第37回現音作曲新人賞入選。2021年、ハンガリーの世界的指揮者ジョルト・ナジの指揮により、7人の奏者のための《トカラ・イヴォークII》が初演。さらに世界屈指の現代音楽の演奏団体、アンサンブル・アンテルコンタンポランによって、4人の奏者のための《ホクサイ・スケッチ》が初演された。同年、8人の奏者のための《トカラ・イヴォークIII》が第90回日本音楽コンクール作曲部門第3位入賞、板倉康明指揮、東京フィルハーモニー交響楽団のメンバーにより演奏され、NHK-FMにて放送。同作品は翌年、東京シンフォニエッタ定期演奏会において再演された。2022年にはクラリネット、サクソフォン、チェロのための《スッパ、ネスパ?》が第11回JFC作曲賞入選。さらにオーケストラのための《ケベス―火群の環》は、イギリスの重鎮作曲家で世界的に知られるブライアン・ファーニホウ氏の審査により高い評価を得て、2022年度武満徹作曲賞第1位を受賞した。2021年度(一財)福島育英会奨学生。2021-22年度(公財)クマ財団奨学生。2023-24年度(公財)ロームミュージックファンデーション奨学生。東京藝術大学「安宅賞奨学基金」「平山郁夫文化芸術基金」奨学生。作曲を鈴木純明、ジャン=リュック・エルヴェ、フランク・ベドロシアンの各氏に師事。