コンペインタビュー:参加者編2~二度目の挑戦で得られた、演奏する意味への気づき
今回のコンクールを通して、とても大切なことを学びました。ステージでできることがどれほど嬉しいことか、私が演奏する意味を気づかせてくれました。そして、私の考え方を大きく変えてくれる良い機会となりました。
今回のPre 特級は二度目の挑戦となります。昨年も挑戦しましたが全国大会入選という悔しい結果となりました。この一年で私に足りないものは何か、ということを真剣に考えてきました。考えれば考えるほど自分が演奏する意味を見失い、目の前にいる私自身との戦いの日々でした。しかしどんなに辛くてピアノから離れても、気づくと泣きながらピアノを弾いていることが多々ありました。辛い気持ちを慰めてくれるのは、いつもピアノでした。自分の居場所が見つからなくても、自分が演奏する意味を見つけることができなくても、ピアノと共に生きていきたいと強く感じました。
今、日常的にテレビで目にする、新型コロナウイルスによって苦しむ人や医療従事者の方々、不安を抱きながらも一生懸命生きている全ての人のために私ができることはないのか。そんなことを考える日々です。私には治してあげられるような技術もないし、この状況を解決できるような知識もありません。そう考えた時に私にできる可能性があることは、ピアノを弾き続けることしかありません。私の演奏を聴いて一瞬でも笑顔になってもらえたら本望ですし、少しでも明日も頑張ろうと思ってもらえたらそれほどに嬉しいことはありません。そのためなら何も怖くないし、どんな努力も惜しくないと思えました。そして、もう一度挑戦することを決意しました。初めは二度目というプレッシャーもありましたが、ステージに立つとプレッシャーや不安など吹き飛んでしまい、このステージで今から演奏できることの喜びや、1 人でも多くの人に届いてほしいという気持ちでいっぱいになりました。この気持ちは一生の財産です。
今回のコンクールで数多くのことを学んだと共に、たくさんの課題が明確になりました。いつか私の声の代わりに、私のピアノが人々に勇気を与えられる日が来るように、必ず前進し続けます。このような状況の中でコンクールを実現させてくださった方、私を信じていつも支えてくださっている先生方、そして私の演奏を聴いてくださった方々、心から感謝しています。この先、どれだけ高い壁にぶつかっても、暗闇に迷い込んでも、いつか私だけの道を自分の手で開けることを信じて、前に進み続けます。