ピティナ・ピアノコンペティション

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第42回コンペ作文コンテスト結果発表!-7- 入選2作品

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト結果発表

2018年度コンペ作文コンテストの入賞作品を、毎週2作品ずつご紹介いたします。
今回は、入選に選ばれた2作品を全文掲載します。 入賞作品の結果一覧はこちら

ピティナ・ピアノコンペティション作文コンテスト

作文:入選

きれいな音色をめざして
田村 莉愛 (新潟県・小学4年生・B級に参加)

 「この曲のイメージは、フラワーガーデンだね。色や形がちがう、いろんな花がさいているイメージができるといいね。」
と、お母さんがピティナ予選の前日あじさい寺に連れていってくれた。課題曲「アレグロ」がどうしてもロボットのようなカチコチのひき方になってしまう。頭の中でいろいろイメージをえがいてみたが、まちがえずにひくことにむ中でなかなか思い通りにいかなかった。お母さんとあじさい寺で色とりどりの花を見ていると、私は曲のイメージがどんどんふくらんできた。家に帰って早くピアノをひきたい気持ちになってきた。ピアノに向かって頭のなかで、色とりどりのあじさいをイメージしてひくと、なめらかで楽しい音色がどんどんとびだしてきた。
「今日の音はすごくいいね。フラワーガーデンが目にうかんできたよ。」
と、お母さんもよろこんでくれた。
ピアノは自分の気持ちが音にあらわれてしまう。まちがえてばかりでイライラしているとすぐに音にでる。頭や心で曲に合ったイメージをしながらひくと、すてきな音色になってあらわれる。私は「アレグロ」をイメージ通りにひくことができて、予選を通かすることができた。

 さらに練習をかさねた本選。本番のあと、自分ではまちがえずにひくことができたなと思っていたが、入賞することは出来なかった。表彰式でしんさ員の先生が、
「これからたくさんのげいじゅつにふれてください。作曲家が生まれた時代のことを調べたり、その時代にかかれた絵を見るなど、心を養って音楽のはばを広げていってください。」
とお話してくださった。私は予選前日にお母さんとあじさい寺に行ったことを思い出した。頭のなかだけで考えてひくのではなく、実さいにきれいなあじさいを見たあとには、曲のイメージがどんどんわいてきた。しんさ員の先生のお話は私の心にひびいた。

 これからはピアノの練習はもちろん、びじゅつ館に行ったり、コンサートを聞きに行ったり、いろいろなげいじゅつにふれていきたいと思う。そして曲に合わせたイメージを作り、ていねいにえんそうしたい。

 今までは予選をつうかすることを目標に練習をしてきた。今後学年が上がっていくと、課題曲もむずかしくなってくるだろう。今回のしんさ員の先生のお話をわすれず、これからもさまざまな曲を楽しんで、ていねいにえんそうしていきたい。

D級の壁
田淵 羽音 (東京都・中学1年生・D級に参加)

 私はB級の時からコンペに参加している。今年で五年目だ。セミが鳴き始めて夏の訪れを感じるように、ピティナの予選が始まると「今年も夏がやってきた」という様になっている。そして、私は学年が上がるにつれ、ピアノを演奏することの難しさを痛感している。

 小学校三年生の時、初めて参加したB級は「楽しい!」の一言で過ぎ去ってしまった。キラキラしたステージで、大勢の人に自分の演奏を聴いてもらうことがとても嬉しかった。そして、初めてのコンペで本選優秀賞を頂いた時の喜びは今でも忘れられない思い出だ。

 しかし、回数を重ねるにつれて、知らず知らずのうちにプレッシャーを感じるようになっていた。ピアノを弾くことが好きなのに、「絶対に失敗してはいけない」と自分に暗示をかけて気負いすぎてしまう。そのためか、思うような結果に結びつかないようになってしまった。私の前だけ、飛び越えられない壁があるような感覚になっていた。

 私は中学生になった。そしてD級に挑戦した。小学生時代に比べて、時間のやりくりが忙しい。ピアノの練習時間の確保も難しくなりつつある。いかに効率よく練習することも課題となった。ある程度、曲が仕上がってくると、毎回のレッスンで先生に聴いてもらう一回目の演奏を「リハーサル」だと自分に言い聞かせて弾いていた。その小さな「リハーサル」でさえも私は何度も転んだ。この内緒の「リハーサル」を先生は知らないはずなのに「本番前にこのミスをやっておいて良かったね。」と言ってくれた。その何気ない先生の言葉が「これはもう本番でやらないミスになった」という安心に繋がった。全く自信がなかったけど、一回目で本選優秀賞を頂くことが出来た。二回目の本選では、私は肩に力が入りすぎていたようだ。だが、その本選会場で遭遇した普段は友であるライバルの存在が大きかった。彼は私よりひとつ先輩であるが同じ音楽教室の仲間だ。その日は、お互いに納得がいく演奏ができていたので、結果発表までの緊張感から解放される時間を一緒に過ごした。そして、自分では納得がいく演奏ができたとしても、必ずしも良い結果が伴うとは限らないことも学んだ。いつもと違う雰囲気の冷静な彼の姿は、私には印象的だった。

 先生にその日の結果報告をした際、「お疲れ様。少し休んでから新しい曲の譜読みやっておいてね。」と返事があった。うちに帰って少し休憩したら、新しい曲の譜読みをやってみた。先生が言っている意味とは違う事は理解している。しかし、この気持ちの切り替えで新しい扉が開いたような清々しい気持ちになった。

 私はコンペを通じて、ピアノや音楽以外でも自分に足りないものを探せるきっかけを見つけることが出来ていることに感謝したいと思っている。